ライティング案件、お取引前に行っていること

ライティング案件、お取引前に行っていること

「いつもこんなふうにお取引しています」というツイートが自分にしてはずいぶんリツイートされていると思ったので、もう少し詳しくブログで紹介します。

おそらくライターが100人いたら100通りの方法があり、どれが正しいというものではありません。こんな方法で進めるライターもいるのだな、と参考にしていただければ幸いです。お客様にとっては「あー、このライターだとこうやって仕事に進むのか」という目安になればと思います。

お取引に必要な情報を得る

お問い合わせがあったら、お客様が求めているコンテンツのタイプ(サイトなのかチラシなのか冊子なのか、など)をお聞きします。描きたいコンセプト、読者に持ってほしい読後感も伺って文章の密度を考えます。「こんなふうにしたい」という他社のものがあれば、URLを聞いたりPDFをいただいたりしてイメージを共有。目的に合う文字数や見え方を割り出します。

 

狭い場所にたくさん入れ込みたい、というお客様もいらっしゃいますが「伝わりやすくするにはこれくらいの文字数が読みやすいですよ」とご案内してお見積前に大まかな文字数調整をしています。

 

私のお見積り作成に必要な情報は【取材時間/作成文字数/交通費など実費】の3つです。だいたい文字数とインタビュー対象者が分かれば取材時間の目安ができます。取材に向かう場合は最寄り駅を聞きます。メールなどでやり取りしてこの3要素が明確になったらお見積書の作成に移ります。

 

お見積書を作成する

私は2012年から「MakeLeaps」という請求業務クラウドサービスを利用しています。2010年に独立して関西で活動していた頃は請求書も見積書もExcelでちまちま作っていたのですが、作成も集計も面倒になったので2012年に関東に転居したのを機にサービスを利用することにしました。

今は月6000円ほどの個人プランに入っています。案件が決まると、ここのフォーマットを使ってお見積書を作成します。今回サンプル作ってみました。こんなPDFができるのでメール添付して確認いただいています。料金基準は料金ページで明示しているので、この数値の掛け算になります。


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文字数や時間の変更がない限り、基本的にこの金額がそのままご請求額になるケースがほとんどです。一般企業のお客様はご予算の目安がつきやすく稟議などを上げやすいと聞きます。当日に描きたい分量が増えたり、時間の増減があった場合はこのお見積書から足し引きします。

 

お見積書の承諾をもらう

このお見積の内容でOKか、メールでご承諾をいただいています。もし予算をオーバーしていたり文字数や時間に制約があったりする場合は、この段階でお聞きしてお見積書を修正します。ご承諾をいただくタイミングは「本当にこの内容で発注します」とお客様も納得いただいたときです。

10年前は文書にハンコを押してPDF化してもらっていたのですが(今問題のやつだ)、さすがに手間がかかるので今はお見積書送付時にメールで下記のようにお願いしています。

もしご承諾をいただけるようでしたら、
恐れ入りますが下記の***の部分の()内をご記入の上、
コピーペーストしてご返信をいただけないでしょうか。
ご返信をもってご契約としたいと思います。

*****************************************
見積書番号 0000(2020/5/29発行)
合計 40,000円 の案件をエディラボに発注します。

貴社名(           )
ご担当者名(           )
*****************************************

ご不明な点がありましたらお問い合わせください。

この金額で仕事を依頼しました、という文字での証明としていただいています。ちゃんとしている(ほとんどの)ご担当者はこうペーストしてメールで返してくださいます。

*****************************************
見積書番号 0000(2020/5/29発行)
合計 40,000円 の案件をエディラボに発注します。

貴社名( 株式会社〇〇〇〇   )
ご担当者名( ●山●子 )
*****************************************

必要なときは、こちらからのメールではなくお客様企業のフォーマットでご契約文書を作成することもあります。その場合はご契約文書が仕事内容の証明になります。

 

過去の経験上、ここで金額の明示や宣言を避けるお取引先は、制作プロセスやご請求時にトラブルになりやすいと感じます。支払いたくない、金額の約束をしたくない、後からなるべく安くしたい、などの意図があるからです。お見積り承諾までのプロセスで「やばいな」と思ったらお断りすることもあります。

 

納品月の末日締めでご請求書を作る

無事に取材が終わり、作成したテキストを納品して完成させたら、その月の月末締めで1カ月分のご請求書を作成します。お振込みは原則翌月末払いをお願いしています。クラウドサービス「MakeLeaps」では、作成したお見積書データから1クリックでご請求書に変換できるので便利です。サンプルはこちら。

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振込先と、不明点があった場合のお問い合わせ先を載せています。ほとんどの企業がPDF送付で正式なご請求書扱いになりますが、まだ郵送による原本が必要な企業もあります。その場合は「MakeLeaps」の郵送サービス(1通148円(税抜))を利用して、画面上のクリックで送付手続きを終えます。

お取引を始める前段階から「必要なものは何か」を定義して「これだけお金がかかります」とお知らせしているので、この段階でトラブルになることはもうほとんどありません。時折個人で振込業務をされている企業で振込忘れがあったりするくらいです。そのときは「まだご入金が確認できていないようです」とお知らせすると、対応していただけます。

 

なぜここまで細かいのか

ライターの中には「ここまでするなんて面倒」「細かすぎてクライアントに嫌われる」と思う方も多いかもしれません。確かに他のライターさんの事例を聞いているとお見積書を準備する人は少なく、ずいぶん手間がかかる作業をしているのは事実です。

おそらく私が新卒で最初に就いた仕事が「広告営業職」だったのが大きいと思います。新聞紙面の広告枠を売り、デザインを決めて制作する業務のスタートは「お見積書とご契約書」でした。この決め事をしっかりやっておかないと落ち着かないのです。

お客様には「こういう約束をしました」と意識してほしいし、自分も「これを完了させる」という責任を持つべき。商慣習になっているこの手続きは、やっぱり双方の意思確認をするのに非常に便利です。なるべく負担少なく確認を取ろうと工夫して、上記の方法で落ち着いています。

 

それぞれ合う人と出会えばいい

もちろんお客様の中には「ライター相手にこんなに面倒な手続きは嫌だ」という方もいらっしゃいます。そのときは、ざっくりとした概要から始めるライターにお願いすればいいと考えています。どちらが良い悪いではなくて、Aの方法が合う人はAのライターに頼めばいいし、Bの方法が合う人はBのライターに頼めばいい。

街の美容院を選ぶときは好みや相性で判断します。ライターを選ぶときも同じような基準です。合う人を探してもらって依頼してもらう。その判断材料の一つとして今回は「私が行っている手続き」をご紹介しました。

結果的に「仕事をする前にちゃんと見積もりが欲しい」「後から金額が変わってほしくない」というお客様が選んで依頼してくださっています。「面倒だな」と思う場合は(それが悪いわけではなく)違うライターを探して依頼されているので、自然と棲み分けのようなものができていると感じます。

上記のようなプロセスがもれなくついてくるライターですが、もしライティング業務に関心を持たれましたら仕事サイトのほうもぜひチェックしてみてください。

 

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