言葉の処理で伝わってしまうもの
今日の朝日朝刊で池上彰さんが新聞の表現について寄稿されていました。菅首相への代表質問を報道するときに、新聞によってどんな書き方の違いがあるのか。朝日新聞と東京新聞、読売新聞が比較対象です。
池上さんがタイトルで「藪の中」と掲げるとおり、同じ事象を文字化しただけなのに読んだあとの印象が全く違います。
池上さんが取り上げた点。
菅首相が「質問をもらったのが2時間前」と牽制した発言。
朝日新聞→「攻めの姿勢」と表現
東京新聞→「狼狽」と表現
読売新聞→「不快感を表した」(中立的)
菅首相が答弁するときの様子。
朝日新聞→「メガネをかけた」
東京新聞→「老眼鏡をかけた」
そのほか、場を形容するときの単語の選び方が各社まちまちで、1つの記事だけを鵜呑みにすると偏った印象になることが記事で実証されています。池上さんは「読者には、新聞記事のニュアンスまで読み取る力が求められ」ると締めくくっていました。
野球はもっと分かりやすいかもしれませんね。
どちらかのチームに肩入れしただけで「打たれた」のか「打った」のか。凡ミスだったのか、惜しいけど届かなかったのか。主観が文章を変えます。
自分が文章を書き出すときにも、どの立場でどう書いているのか、ちゃんと意識しないととんでもない文章に。
たとえば、外部に出す文章なのに「客」という呼称、「上司がこうおっしゃった」という記述になっていたり。当人が置かれている立場としては正しいのですが、誰が読むのかを考える必要があります。
どのくらい肩入れするべきか、中立を保つべきか、書く前に一度意識する。そして書き終わったらしばらく時間をおいてもう一度見てみる。
無意識のうちに「言葉の処理に本音が出ている」ので、何度かチェックしましょう。——————————–
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