[書評]『女・東大卒、異国で失業、50代半ばから生き直し』栗崎由子
栗崎さんとお知り合いになれたのは、ブログのおかげです。HDMIとMacの接続方法を書いた記事を読んだ栗崎さんが「助かりました!」とコメントをくださったのがきっかけ。まさかジュネーブの空の下から書かれているとは思わず、知ったときはびっくりしました。
その後もFBなどでやり取りが続き、このたび日本で出版されたとお聞きしました。
1978年の旧電電公社に大卒女子として3人採用された中のお一人。雇用機会均等法の欠片もないような時代です。おそらく女性として大変な環境で仕事をされたと思います。
カナダへ留学し、語学力と国際的な視野を手に入れて電電公社に戻って活躍。その後は国際機関とヨーロッパの多国籍企業で勤務、通信の知識を持ったエキスパートとして活動されていました。
しかし突然の失職。この本には、50代半ばで「組織」を離れてヨーロッパで仕事を探す日々が赤裸々に綴られています。
栗崎さんが住んでいるのはスイスのジュネーブです。日本にいる自分がニュースで接するとしたら国連関係の話くらい。本のメインテーマは女性の働き方や生き方なのですが、私はジュネーブでの暮らしや人との関わり方、採用までの細かい手続きなども気になりました。「へええ、なるほど!」と思うことばかり。
パッと「この日から来なくてもいい」と言われる反面、働きかけると応えてくれる人たちがいる。意外にも「日本人であること」がメリットになったりする。失業者に向けたいろんなサービスがある。海外でも、組織以外のいろんな働き方がある。
大切なのは、これらの発見はすべて栗崎さんが「動いた」から得られたということ。本を読むと発見のお裾分けをいただくような気持ちになります。
本は日常の葛藤や試行錯誤のページと、そこから得た栗崎さんの教訓やまとめに分かれています。読んでいて自分に一番不足しているのは「押し」や「遮二無二」の部分なのだなと感じました。
日本とは違い、いろんな背景を持っている人たちが集うヨーロッパでは声を上げないといないことになってしまう。その代わり、発言は耳を傾けてもらえる。「仕事が欲しい」という希望はどんどん表に出すべき、というお話は「なるほど」と思いました。
自己主張の方法や、なぜそうしたほうがよいのかは、本に何度も詳しく書かれています。海外の就活の話ですが日本でも応用できます。
→栗崎さんの出版記念講演会も、生のヨーロッパのお話が満載でした
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