[書評]Kindleアプリで『採用基準』を読む

[書評]Kindleアプリで『採用基準』を読む

20130204-215438.jpg本屋では平積み、いろんな人から「読んでよかった」と噂を聞く『採用基準』。今回は試しにアマゾンからKindle版をダウンロード購入、iPadで読んでみました。書籍版は1575円ですがkindle版は1200円で買えます。


採用基準というより「リーダーシップ論」

著者はコンサルティングファーム・マッキンゼーの日本支社で17年間働いていた伊賀泰代氏。最初の5年はコンサルタントとして、続く12年を採用担当者として勤務しました。

マッキンゼーで必要なのは問題解決法を編み出す人ではなく、偏差値が優秀な人でもなく、リーダーシップを発揮できる人/秘めている人。変化に対応する人ではなくて変化を起こしてチームを解決に導ける人。

日本だと「リーダーは一人いればいい、みんなはその指示に従うもの」というイメージがありますが、海外では違います。すべての人がリーダーシップを持って「場をコントロールする意識を持つ」のがスタンダード。最終目的を共有したあとは個々が違う持ち味で解決への道を提示し、議論し、収斂させます。

この本ではマッキンゼーでの人材育成法や伊賀さんの海外経験をわかりやすく例にしながら、リーダーシップとは何か、どうすれば学べるのかが書かれています。


フリーランスにもリーダーシップが要る

会社組織じゃないから関係ないかな、と読み進めていましたが、フリーランスでもこの考え方が当てはまるのが見えてきました。

まず自分の中。フリーで仕事をするということは、一人で総務や営業、制作を切り盛りしているようなもの。ここで「決断して進める自分=自分内CEO」を設定しないと回っていきません。

問題は山積みだが、今が決断して前に進むべきタイミングであると考えて、決断するのです。(第4章)

 

一人だとうじうじ迷っても助けてくれる他人がいません。どこかで決断しなければいけない。リーダーシップが要るんです。

そして自分の外。一つの専門領域でやっていると制作過程で必ず誰かと組みます。より良いものを作るのが最終目的なら、途中でできることや指摘に迷うことが出てきます。意見をうまく提示して良い方向に進められるのはリーダーシップの力です。

また、新しいことを始めるなら人を巻き込むスキルが求められます。

これまでには存在しなかった、儲ける仕組みを新たに設計して提示すること(第1章)

 

これは組織内やコンサルタントだけに限らないですよね。働いている人すべてに共通する「必要なスキル」。本ではリーダーシップを素質の問題ではなくトレーニング可能なものとして取り上げ、解説しています。

ビジネス本はたまにパーッと読み進んで1時間くらいで読了するものがありますが、これは情報が濃いので読み飛ばせません。経験に裏打ちされた事実と考察なので、1行1行が新しい情報でした。


Kindle版ってどう?

ハードとしてのKindleを持っていないので読めないのかと思っていたら、iOS用のアプリを使えば読めるんですね。今回はPCからアマゾンに入って購入しました。アプリを入れたデバイスを登録すると、購入時どのデバイスで読むのか選ぶようになっています。

スクリーンショット(2013-02-04 21.29.09)

一度PCで決済したあと、iPadでアプリを起動すると自動でダウンロードが始まります(Wi-Fiなどの環境下)。文字の大きさや背景の色を選んで環境を整えればOK、薄いiPadで読むことができます。これに何冊も入れられるのかー。

便利な部分もあるんですが、電子書籍の宿命としてノンブル(ページ数)が固定されません。今回も引用するときどう表現するのか迷いました。しおり機能があるので気になるページをリストで持つことはできますが、本のような直感的な動きで目的のページへはいけません。

気になる本は紙で買いそうな気がします。

おまけ

著者の伊賀泰代さんもキャリアインタビューのページを持っていましたΣ(゚Д゚) マッキンゼーのOBやOGがずらり。でも、うちはマッキンゼー以外でがんばりますよ、ということで近日新しい方のインタビューを掲載予定です。

 

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