ジュネーブ在住の著者、栗崎由子さんの出版記念講演会

こちらで紹介した『女・東大卒、異国で失業、50代半ばから生き直し』の著者である栗崎由子さんが、9/2に出版記念講演会を開かれました。ご本人に会える機会は少ないので参加してきました。
テーマは「欧州のダイバーシティ」。
25年間ヨーロッパで働いてきた栗崎さんが直面した問題、今のヨーロッパの人たちの状況と考え方などを1時間半。30人ほどの参加者の半分以上は女性で、平均年齢は私より少し上、40代半ばくらいでしょうか。
日本で「ダイバーシティ」というと、多様化といいつつも男女の権利差の問題になってしまいがち。国際的な事柄が味付けされていても、やっぱりどこか借り物の概念という雰囲気は否めず、頭ではわかっているけれど心では理解し切れていない気がします。
でも栗崎さんが住むスイスは「毎日がダイバーシティ」。なぜなら九州ほどの領土に26の州があり、公用語は4つ、パスポートを複数持っている人が珍しくない地域。「ナニ人ですか?」という問いがほとんど意味をなさないそうです。
中でも「国境がやわらかい」と話していたのが印象的でした。ヨーロッパは地続きのせいで昔から戦争が多く、今協調しようとしているのはもう血を流したくないという共通の意識から。だからお互い様で妥協するところは妥協し、主張するところは主張する。
国境を越えて通勤する人もいるし、スペインの処方箋でオランダの薬局が調合してくれるような法の土台もあるし、国の境はあるものの日本で考えているよりは相当ゆるやかです。
もうそれが日常だと聞いてしまうと、今までの自分の意識は「日本に住んでいて、日本から何か言う人」の意識なのだなと痛感しました。
講演の最後で「あなたにとってダイバーシティとは」という問いかけがこちらにありました。うーむ。たぶん、究極の形は意識されないことで、こうやってダイバーシティという単語で議論がされなくなることだろうなと思います。
たとえば「新潟出身」「島根出身」という人が一緒に働いても誰も気にしないし話題にはしませんよね。たまに帰省話でああと思うけれどそれくらい。仕事における「男性」「女性」「国籍」「年齢」もそれくらい自然になれば本当の「個」が見えるようになって、誰にも負担がかからなくなると思います。
懇親会でもいろんな立場の方とお話しすることができました。栗崎さんとつながりがある方が多く、いろんな歴史のポイントで海外経験がある方ばかり。同じ9.11でも居た場所が違うと景色も変わります。新しい視点をたくさんいただきました。
ただ、話に夢中になると(自分のも相手の方のも)食べ物と飲み物が留守になってしまうので、お気遣いいただいた皆さんすみませんでした…。
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