物事は何でも2つの側面がある
自分が馴染んでいる考え方があると、つい同じ方向から物事を見てしまいがちです。そして、それがいつも正しいと感じている。でも実はどんなことでも必ず2つの側面があります。そう考えるようになったのは、減点思考で捉えがちだった母親の影響が大きいかもしれません。
たしか小3くらいだったと思いますが、私が手伝いで家族4人のご飯を茶碗によそったときがありました。そのとき私は、人の茶碗へ先によそい、自分の茶碗を一番最後にしました。やっぱり自分より人を優先したほうが良いと思ったからです。母親はそれを見てこう言いました。
「人ので練習して、自分のを一番きれいに盛ろうとしたでしょう?」
えええ。まったくそんな意識はなかったのに。でもそう怒られたら子どもなりにそうですかと思うしかありません。
次に同じ手伝いをするとき、前の反省を踏まえて私は順番を逆にしました。自分のを先にして、人のを後にしよう。下手くそな初っ端は自分のを犠牲にすればいいと思ったからです。そうすると今度はこう言われました。
「自分のを優先したでしょう。まず自分、と考えるのをやめなさい」
……正直、判断なんて受け取った人の気分次第です。どちらもありで、今日はこちらというだけの話。
この2つの出来事で学んだのは1つ。物事は人の考え方によってどうとでも捉え直しができること。そして本人はいつも正しいと思っていること。
2つをそれぞれ逆に捉えてもいいわけです。自分の茶碗を最初にしたら「慣れない盛り方は自分になるように配慮した」と褒めポイントにもできる。最後にしたら「人のご飯を優先した」という褒めポイントにもできる。
実際、弟が同じことをしても評価が正反対なので理不尽だなあと思っていました。
何事も、良く言おうと思ったらいくらでも良く言えるし、同じ材料から悪く言おうと思ったらいくらでも悪く言えます。
どちらの立場に立っても正当化する理屈があって、使うときはどちらも「自分が正しい」と思ってしまう。何かに偏りそうになったときは、よくこの母親の自由な「臨機応変」を思い出します。
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