[インタビューズ]Sansan株式会社 日比谷尚武さん 1/4
第6弾インタビューはSansan株式会社 コネクタ兼Eightエヴァンジェリストの日比谷尚武さんです。先日、名刺スキャンキャンペーンに伺ったときにお世話になりました。日比谷さんはインターネットが普及し出す黎明期からITで起業したり事業に参画されていたとのこと。
Windows95が出たものの、世の中ではITがここまで広がるとはまだ思われていない頃。なぜこの業界に関わるようになったのか、これまでどんなスタンスで仕事をされてきたのか、改めてお聞きしてみました。(全4回)
思えば小学生の頃から「ITが面白い」と感じていた
——履歴を拝見すると、大学生のとき(90年代半ば)にIT関連の仕事を始められたんですね。どんなきっかけで何をされていたんですか。
仕事を取り始めたのはWindows95が出てすぐの頃、大学2年生ぐらいのときです。最初にお金をいただいた案件は、たしか先輩あたりから来た「ホームページをつくってほしいという話があるんだけど、誰かやれない?」という仕事だった気がします。
学生の中でも、当時はホームページをつくるとか、簡単なプログラムを書くまでできる人は少なかったんですよ。コマンドラインを打ってサーバーの設定をするとか、ユーザーをつくるとか、そのレベルまではできていたので「あいつできるんじゃない」みたいな感じで、いろんな人へ紹介してもらいました。
厳密にいえば登記して起業ではないんですね。仕事は大きく2つあって、1つがホームページの作成。もう1つが、パソコンの設定とかインターネットの契約してほしいとか「パソコンを買いに行きたいんだけど、ついて来て」とか。
相手の用途を聞いて「このソフトがいいですよ」「このパソコンが合いますよ」と勧めるコンサルのようなこともやっていました。メニューを掲げたり、自分のホームページをつくっていたわけではなかったんですけど、「パソコンをあの学生にやってもらったんだよね」と口コミが広まって。
つくったホームページのデータはMOでやり取りしていました。都内のお客さんが多いのですがまだテレビ会議のシステムはないので、通っていた藤沢の校舎(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)で作業をして、車を飛ばして都内へ納品です。今と違ってお客さんにメールがない。画面をプリントアウトしたものを渡して、赤入れで修正してもらうような時代でした。
——Windows95が出る前からプログラミングができたのはすごいですね。いつ頃から手がけるようになったんですか?
うちの父がNECの研究員だった影響もあって、もともと小学生時代からパソコンは家でやっていたんですよ。父が論文をPC98で書いていたので、僕も簡単なプログラムを書いたり、ゲームやったり、パソコン通信をちょっとやったりとか。
今思い出したんですが、小5か小6のときに先生が文集を印刷して配りたいといわれた。ある人が書いた作文が良かったけれど書き起こしたりするのが大変だと。そこで僕が家でワープロで打ってあげて、印刷して、これコピーすればいいですよって請け負ったことがあります。
お金はもらってないですけど、これが仕事の原点かもしれません。パソコンは新しい技術で、ちょっと専門性があって、人からすると何か便利がられるな、という感覚がこのときにあったと思います。
——でもゲームをつくる人になろうとか、ITの先端技術を研究するという方向にはいかなかった。
学校の特性上、本当のインターネットの仕組みをつくっている人とか、最先端に携わる人がたくさんいます。僕はそういう研究者ではないなという意識はありました。ただ、そういう人たちはできない、外に紹介するとか、ヘルプして喜ばれる仕事なら僕はわりと得意なんだなと自覚していました。当時から営業的なこともやったり、バイトや後輩を束ねて「これを明日までやって」とマネジメントするとか、今も同じですね。
ゲームは『三国志』や『信長の野望』なんかをやりましたけど、ハマらなかった。小学校1、2年の頃に近所の工作教室に通っていたんですけど、そこでは紙を使ってボードゲームを自作するとか、アスレチックゲーム、ビー玉を転がしてジャンプするようなのを紙で作ったりするのはよくやっていました。これをパソコンでやったら面白いんじゃないか、と簡単なゲームをプログラミングしていましたよ。できても矢印でチャカチャカ動くとか、質問を重ねてゴールをめざすとかそういうのですけど。
何かするにも、やると面白そうだなというタネがあって、大きくなりそうだなと思ったら広げていく。今も昔も、タネからプロジェクトや事業、会社に広げていくスタンスは変わっていないかもしれないですね。(続く)
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