導入事例の書き方・まとめ方/これから質問を作る場合

導入事例の書き方・まとめ方/これから質問を作る場合

ライターに頼むまでもなく、自分たちで導入事例を書きたいニーズもあると思います。ざっくりとですが導入事例(お客様事例・ユーザー事例)の書き方を紹介します。今回は「これから質問を考えてインタビューに行く場合」についてです。

1:書く記事の構成を覚えておく

導入事例の記事は「お客様/クライアントの事例を紹介して、新規顧客に『うちも導入したい』と思ってもらう」のが目的です。そのために皆が知りたい情報があり、記事には一定のフォーマットがあります。インタビュー前にその基本構成を覚えておきましょう。

多くの場合、記事は下記のブロックで成り立っています。

導入前は何が原因でどのように困っていたのか
どんな方法でこの製品/サービスを知ったのか
何が決め手でこの製品/サービスを選んだのか
導入後、どんなメリットがあったのか

インタビューの目的は、このブロックを書くための材料をご本人の口から語ってもらうことです。そのための質問を考える必要があります。

2:一番言いたいことを「仮決め」する

導入事例を作成するためにお客様/クライアントを選定したとき、おそらく「このお客様にはこれを語ってほしい、ここを褒めてほしい」というポイントがあるはずです。例えば下記のような項目です。

複雑なシステムを、シンプルにサクサク動くようにした
工数削減に成功して現場の作業負担を減らした
リーズナブルに提供してコストカットに貢献した
お客様の先にいるエンドユーザーにも好影響があった

皆さんの会社にも「うちはこんな風にお客様の役に立ったんですよ」とアピールするメリットがあるからこそ、そのお客様/クライアントが選ばれたはず。中心になるポイントを1つ、意識しておいてください。インタビュー時に持っていくメモに大きく書いてもOKです。これが話を聞くときの軸になります。

ただし「仮決め」であり、最終的な原稿まで反映するかは現段階では分かりません。なぜならインタビューのときにもっと面白い話が披露されるかもしれないからです。第一候補ですが、まだ「仮決め」です。

3:そのための質問を考える

慣れないときはここで一番時間がかかるかもしれません。1で覚えた構成を成立させること、2で仮決めしたアピールポイントについて語ってもらうこと、これを両立させる質問を準備します。最もシンプルなのは1の構成が時系列に並んでいるので、それに沿って聞いていく方法です。

もちろんストレートに「導入前は何が原因でどのように困っていましたか」と聞いてみるのはOKです。そのとき「営業からはこういう理由だとお聞きしていましたが詳しく教えてください」と情報を提供すれば相手も答えやすくなります。質問は相手から情報を引き出す言葉の武器ではなく、相手に思い出してもらうための軽いきっかけです。そのトリガーとなる質問をたくさん見つけて書き出してください。「こう言ったらこれを連想してもらえるんじゃないか」という視点で探すと話も弾みます。

見つけた質問は書き出して、当日持っていきましょう。

4:当日は「共同作業者」になってもらう

伝えたいポイントを定め、聞きたい内容を時系列で準備したら、当日はインタビュー前に相手にその情報を伝えてください。私は皆さんが同席するところで、すでにメールなどで共有されていたとしても一度口頭で下記のような内容を確認します。

今日は○○のサイトに載せる記事作成で伺いました。お客様は○○という点でA社にとっても大切なお客様であり、新しいお客様にもその点をぜひ知ってほしいと考えています。できましたら○○の効果を中心にお聞きしたいと思っています。○時までに終わらせる予定です。

案件によっては質問リストとしてあらかじめ内容をお送りしている場合もあります。それでも一度、皆さんがいる前で話し、今日の目的を共有して「共同作業者」になってもらいます。取材中に狙い通りの話が出てこないと悩むより、「こういう記事を作成するつもりで来た、エピソードはお持ちだと聞いているのでぜひ教えてください」と事前にお願いしてしまうのが得策です。相手も話の的が絞れるので負担が減ります。

その後、用意した質問を時系列で尋ねていくのが一番確実です。ただし相手が思い出して話しているうちに「そういえばこんなことがあって」ともっと良い情報が出てくることがあります。2で決めたポイントと比べて効果的な話だと判断したら、軌道修正しても構いません。そのときも1の構成を埋めるための質問を忘れないようにしてください。

5:音声起こしをしてから執筆する

インタビューはICレコーダーなどで録音し、出来るだけテキスト化してから執筆作業に入ることをお勧めします。確認したいときにいちいち音声を巻き戻して探す時間がムダだからです。テキストデータであれば「あの話題が出た後にこの話をしたな」という思い出し方でも、検索すれば該当箇所がすぐヒットします。

音声起こしは業者に頼むのも手ですし、自分で音を聞きながらシャドーイングしてGoogle音声入力で入れる方法もあります。私はよく「Speechnotes」を利用しています。スマホアプリもあるようです。

 

 

6:書く作業に入る

材料を揃えた後の作業は「導入事例の書き方・まとめ方/すでに材料がある場合」に詳しく書いたので、そちらを参照してください。1に「一番伝えたいことを選ぶ」とありますが、このときに2で仮決めしたポイントで継続するか、インタビュー当日に変更したポイントにするかを決めてください。

導入事例の書き方・まとめ方/すでに材料がある場合


あまりにも時間がかかる、事例作成が本業を圧迫して大変、というのであればライターがいます。上記のポイントをあらかじめ確認してから取材を行いますので、ぜひ無理をせずにプロに頼んでください。

今は企業ライター、広報ライターという肩書きで活動している企業向けライターもたくさんいます。美容師さんと同じでライターにも相性の良し悪しがあるので、お好みの筆致・仕事の進め方の人を選ぶとよいと思います。

もちろんこちらで依頼されるのも大歓迎です。皆さんの目的に沿ったテキストを作成します。

 

 

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