導入事例の書き方・まとめ方/すでに材料がある場合

導入事例の書き方・まとめ方/すでに材料がある場合

ライターに頼むまでもなく、自分たちで導入事例を書きたいニーズもあると思います。ざっくりとですが導入事例(お客様事例・ユーザー事例)の書き方を紹介します。今回は「すでにインタビューを終えて音源データやテキストデータがある場合」についてです。

1:一番伝えたいことを選ぶ

導入事例を作成しようと思ったからには、皆さんのお客様/クライアントに「伝えたい!」と思ったポイントがあるはずです。具体的にはこんな点です。

画期的な技術を使ったので驚いてほしい
他社よりも効果があることを知ってほしい
格段にリーズナブルなので安心してほしい
スタッフのフォローや対応力の高さを知らせたい

できれば1つだけを「今回言いたいこと」として絞り込んでください。言いたいこと全てを同じくらい強調するのは難しく、実践すると記事内の印象が散らばってしまいます。いくつも言いたいことがある場合は違うお客様/クライアントにそれを語っていただき、別の導入事例記事でまとめたほうが効果的です。

2:そのための流れを考える

1で決めた「今回言いたいこと」を読み手に伝えるための文章の流れ/構成を考えます。最も基本的なのは、最後のブロックで述べて読み終わりに印象づける方法です。下記の順番で記事を並べると失敗が少ないと思います。

導入前は何が原因でどのように困っていたのか
どんな方法でこの製品/サービスを知ったのか
何が決め手でこの製品/サービスを選んだのか
導入後、どんなメリットがあったのか

最後の「どんなメリットがあったのか」のブロックに1で決めたポイントが嵌るようにします。

文章はムダを削いで短く伝えるほうが読み手の負担が少なくなります。もちろん長い物語仕立てで伝える方法もありますが、書き慣れていない場合は各ブロック500字以内で収めるのを目標にするといいでしょう。おそらく「あえて削って、削って、削る」の繰り返しですが、書き足して増築した文章よりは読みやすくなります。

1のポイントと基本的な構成さえ定めて書けば、多少文章が拙くても読み手に筋は伝わります。伝えたいがためにダラダラと情報を足していくと読みづらくなるので注意してください。

3:読後感を見直す

できれば一晩以上寝かせて文章を見直してください。そのときの視点は「1で決めたポイントが伝わるかどうか」です。せっかく「技術力の高さを伝えたい」と考えていても、書いたときに「削るのが勿体ない」と思って余計な情報が残っていることがあります。横道に逸れている話題は外して、手元の材料から「技術力の高さ」を補強するエピソードに書き換えてください。

代替エピソードがなかったら削ったままで構いません。余計な情報は足しても内容が薄まってしまうだけで逆効果だからです。

余裕があれば社内の別の人に読んでもらい感想を聞いてください。そのときにしっかり「1で決めたポイント」を印象づけることが出来ているか確認してください。「技術力が高いことが分かる?」と聞いて返事が芳しくないようなら書き直しです。

4:「聞いた以上の記事」は作成できないことに注意

ライティングの依頼でも時々「盛ってください」というオーダーがあります。30だけ聞いた内容について、50の内容で書いてほしいという要望です。ライターによって考え方は違うと思いますが、私は「聞いた内容以上の記事は書けません」とお返ししています。

文章を見直す際に先方が書き足すのであればいいのですが(こちらが書き足すのではない)、そうでなければ嘘になってしまいます。嘘を書くのは読み手に対しても裏切り行為です。紹介する製品/サービスが本当に良いものだとしても、真実でない広報をしてしまったら汚点となるでしょう。もし「言ってほしいこと」や「褒めてほしいこと」があるなら、インタビューの現場でそれを本人の声として拾う必要があります。

50の量を書きたいのであれば現場では80や100の内容を聞き、収斂して磨いてムダを削いで50に凝縮させるのがベストです。もし今回の取材やインタビューを書き起こすときに「要素が足りなかった」と思ったら、次回はムダも含めて多めに聞くことを心がけてみてください。


あまりにも時間がかかる、事例作成が本業を圧迫して大変、というのであればライターがいます。上記のポイントをあらかじめ確認してから取材を行いますので、ぜひ無理をせずにプロに頼んでください。

今は企業ライター、広報ライターという肩書きで活動している企業向けライターもたくさんいます。美容師さんと同じでライターにも相性の良し悪しがあるので、お好みの筆致・仕事の進め方の人を選ぶとよいと思います。

もちろんこちらで依頼されるのも大歓迎です。皆さんの目的に沿ったテキストを作成します。

聞くところからご自身でやってみたい方は「これから質問を作る場合」バージョンも書きましたので、参考にしてください。

導入事例の書き方・まとめ方/これから質問を作る場合

 

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