『パチンコがアニメだらけになった理由』安藤健二 著 レビュー
- 2011.01.19
- 更新日:2013.07.25
- 書評・評論
テレビを見ていると、だいたい過払い金返還のCMか、パチンコのCMか。意外なキャラクターが前面に押し出されて「何の広告だろう」と思ったらパチンコ。こんなパターンが多すぎてたまに腹立たしく思うほど。
スポンサーが減ってきたんだろうなあ、という以外にどんな理由があるのか知りたくて、この本を読んでみました。元々「封印作品」を追うルポ本を書いているライターさんなんですね。
パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)
何だかダークな本ですね…。でも中身は真面目です。最初は「パチンコの客層にウケがよいアニメを使うことで、パチンコの客を増やしてるんじゃないか」という予測から出発。追っていくうちにどうもそんな単純なカラクリでこの現象が起きているわけではなさそう、とわかってきます。
この本に登場するのは業界のさまざまな立場の人たちです。パチンコメーカーの企画者。中小のホールの支配人。パチンコライター。アニメライター。アニメ制作会社のクリエイター。最近パチンコにはまった若者。プラス、取材拒否の嵐。
安藤さん自身がこの本を書くために編集者さんとパチンコ屋に出向いて、「どう遊んでいいのかわからん」というところからパチンコとアニメの関係を解いていくので、業界についてほとんど知らない私でも理解できました。確かに初心者にとっては敷居が高い遊びだよなあ。
同時に、パチンコの仕組みと「何が楽しいから遊びに行くのか」が細かく説明されていたので、その部分だけでも勉強になりました。やるかどうかは別として。
先入観なしに「あらゆる角度から話を聞こう」というスタンスでできてる本なので、変な煽りはありません。何かが悪者になったりもしません。個人的には、あるメーカーの企画者さんやホール支配人さんが「射倖性」より「ゲーム性」を大事にしているのがわかって目から鱗でした。そういう姿勢の企業だから取材も受けてくれたんでしょうねえ。
もっと丸々金儲け主義な感じが浮き彫りになるのだと思っていました。これも偏見ですね。
取り締まる側の警察や関連の団体もこの現象で大きな役割をはたしているようです。断片的に知っている事柄が意外な分野まで取り込みつつ大きくつながったので、読後はすっきりしました。
パチンコのCMを見る気持ちも変わりそうです。やるかどうかは別として。
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