「お客様の声」制作はアンケート回答だけでまかなえるか?
導入事例、成功事例などの取材お問い合わせはよくいただきます。直接話を聞きに行って組み立てるタイプもあれば、「アンケートをとったのでそれを基に書いてください」というタイプもあります。このアンケートがちょっと曲者です。
発注する側から考えると手元の資料を渡せば出来上がりが戻ってくるので、手間がかからないし取材費も要らない、便利な方法です。でも書く側から考えると、あまりにも材料が限られすぎていて実はしんどい作業になります。
資料を基にするなら出来上がり原稿の数倍の情報が必要です。なぜなら資料には「原稿に書かない一見無駄なこと」と一緒に「全体で何を言いたい人なのか」「どんな方向を望んでいるか」などの付随情報が含まれるからです。
それらは原稿には載せませんが、書くためには大きな手がかりになります。というか、これらがないと「本当に書きたいこと」を必要文字数に収斂することができません。
取材ならその場で不明点を聞いたり確認ができます。でも資料を基にする執筆はその資料しか材料がありません。聞き手がうまくてあらゆる角度から網羅したものをまとめるならともかく、大体は聞き不足。
見ながら「ここをもう少し掘り下げてくれれば…」「なんでここを聞かないのだろう」と思いますし、アンケート回答で素っ気ない1行しか書かれていないとお手上げです。
文字数のために内容を「それっぽく」ふくらませるのは可能です。でもやっぱり「それっぽい」お客様の声になって、果たして意味があるのか。だったら直接本人に聞いて、本人しか言えない生の言い回しを拾うほうが長い目で見ると効率的・効果的です。
こんな事情から、最近は「資料を基に」と言われても「できれば再取材したい」とお願いしています。
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