[書評]『数量化革命 ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生』アルフレッド・W・クロスビー
何かを数量化する、数値化する、視覚化する、という作業は現代では当たり前になりました。というか、それができないと能率が悪い人のような印象すらあります。でもこの「当たり前」は数百年前に生まれた世界観だった、というのがこの本『数量化革命』です。アラビア数字、暦、時計、楽譜、地図、簿記など、今ビジネスシーンに欠かせないものは「まだない」時代があったんですよね。
原著者はアメリカの歴史学者、これまでも1テーマを軸にして時代を行き来する本をたくさん書いているようです。
今回は「数量化」。このキーワードを見ただけでいろんな「なるほどね!」が頭をよぎりました。その切り口があったかー。本の帯には「神の尺度から人間の尺度へ」とありますが、まさにその通りで。
これは西暦1250年から1600年を切り取って、その間の「数値化という革命」が起きている項目を1つずつ丁寧に解説しています。本を読むとわかるのですが、中世ヨーロッパにおける宗教の強さは日本人の感覚を超えているのだなと思います。
だいたいのジャンルの根っこが宗教。印刷も聖書から、時を刻むのも教会の鐘から、音楽は宗教音楽から。暦もキリスト教的世界観と戦うことになるし、絵画も宗教画から。世界全部が宗教だったのだなと。今も信じている人にはその流れがあるんだろうなあ。
中世以前は「神の領域」で区切ってはいけなかったもの、測れないと思われていたものが、人間の恣意的な「最小単位」で区切って数えられる存在になります。その考え方の転換そのものが大事件なんですね。
だからこそ、誰でも共有して再現できるようになり、進歩もした。1600年代以降の西ヨーロッパの発展は、この土壌があったからだと著者はいいます。うむたしかに。
プラス、そういった新しい捉え方ができたのは、当時西ヨーロッパはキリスト教的世界における辺境、周縁だったおかげとも書いています。中心ではなかったから新しい方法を考えざるを得なかった。
何となく西洋を一緒くたにしていましたが、いろんなパワーや文化のグラデーションがあるんですね。そうか。
同時に「数量化していない時代」の考え方も気になります。訳者の小沢千重子さんもあとがきに書いていますが、一口に「普遍的」というけれど、
誰にとっての普遍なのか、普遍化の名のもとに駆逐されるのは何なのだろうか、と。P.306
西洋の人が書いているので余計に気になるんでしょうね。自分たちの「普遍」も絶対的な価値ではないのだなあと改めて思います。
『数量化革命 ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生』紀伊國屋書店
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