ライターの原点は、TV番組のリサーチ[1]
思えば、インタビューに通じる仕事を以前もしていました。
インターネットがこんなに広まる前は「パソコン通信」といわれる閉じた世界がありました。富士通が運営するNIFTYサーブというネットが有名だったのですがご存じでしょうか。地方住まいだけれど20歳そこそこでテレビ好きが集まるフォーラムの東京のオフ会に出て、いろんな人から名刺をもらいまくっていました。名刺をもらう、という体験は大人になる階段を1つ1つ登って行くようでワクワクしたのを覚えています。
その頃は「マスコミ関連の仕事に興味あります!」と事あるごとに話していました。するとフォーラム管理者だった構成作家さんが「うちでバイトはどう?」と誘ってくれました。松本に住んでいる身からしたら東京でアルバイトできる機会なんてそうそうありません。二つ返事でOKです。
その構成事務所ではNHKの番組を担当していました。手がけていたのは、今でも続いているNHK『スタジオパークからこんにちは』や『週刊こどもニュース』など。私はお使いや電話番のほかにゲストのリサーチも任せてもらいました。
リサーチとは、番組の構成を考える上でゲストがどんな材料や履歴を持っているのか探るため、資料を集めてくる仕事です。
過去にどんなインタビューを受けているのか。
どんな話が出れば今回の番組に一番効果的なのか。
実際に番組の台本として構成するのはその事務所の構成作家さんですが、リサーチの質によって内容の質も左右されてしまいます。
主に材料集めの場所になったのが八幡山にある「大宅壮一文庫」でした。ここはあらゆる雑誌が保存されていて、データベース化されています(今はデジタル化された国会図書館のほうが強いかもしれません)。
検索パソコンに対象タレントさんの名前を入れると、その人が雑誌で掲載された情報(掲載誌名・号数・記事タイトル)がどどどどどーっと出てきます。あんまり有名な人だと何百件単位です。でもそれを全部チェックするわけにはいかないので、記事タイトルから「番組で使えそう」というニオイを嗅ぎ取って、狙いをつけた記事だけ費用を払って本文を見せてもらいます。
有名雑誌の記事でも「その人の人生に深く入って聞き込んだ記事」かもしれないし、「名前だけ借りて雑誌に花を持たせるための記事」かもしれない。正直、後者だと材料として価値がありません。拾うんだったらなるべく実のある記事が欲しい。
これは作業の時間効率だけではなく、お財布の問題でもあります。大宅文庫は入館料がありました。事務所が法人会員だったので、閉架式書庫から取り寄せる費用が10冊までで300円。入館料もかかり、再入館は200円で4回まで。そして取り寄せは1日100冊まで、と限りがあります。
ということはダラダラ読んでいる場合ではない!
なるべく少ない閲覧冊数で目的の材料を揃えないと、お金がムダになってしまいます。なおかつ記事のコピーが1枚60円なので、なるべく実の詰まった記事を集めないと損してしまう。1回大宅文庫で作業をすると費用が1万5000円くらいになりました。
これを持ち帰って取りまとめの作業です。…思いのほか長くなったので、続きはこちら。
2019/11/8追記
有料noteマガジンに当時の事務手続きや準備した内容をまとめています。
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