編集は「決める」と「捨てる」

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ただあるものをコピペするのは、編集と呼びません。新しい意図を持って組み替えないと編集にならない。逆に「編集します」と言って「それってコピペするだけでしょ」と思われるとものすごくがっくりします。最近もちょっとがっくりしたので、編集とは何か、自分なりにまとめてみました。

ある企業が小冊子を作るとします。材料は以下。

 A:自社ホームページ
 B:会社案内のパンフレット
 C:講座で使ったレジュメやスライド

このABCの材料を料理して、新しい小冊子を作ります。まだ手を動かす前にやることがたくさんありますよ。

この小冊子はどんな目的を持っていますか?

 ・企業幹部など決裁権がある人に高額の法人用サービスをアピール
 ・まだうちの会社を知らない人に親しみを持ってもらう
 ・セミナーに来た個人に、さらなる講座を受けてもらう

などなど考えるといろんなことができそうです。ここで「決める」。決めたもの以外の要素は「捨てる」。小冊子を作りたいお客さんには、ここで「捨てる」ことを納得してもらいます。なぜなら目的から外れるから。

ありがちなのは「あれも入れて」「これも入れて」に応じて、結局何を作っているのかわからなくなってしまうこと。発注するほうも制作するほうも、そして読むほうも幸せにならないので、作業前に軸を決めます。あとは捨てます。

じゃあこれで制作に入ることができるかというと、まだまだ。全体の構成を決めないと。目的を「法人相手のサービスを売る」にしたら、ABCの中で使えそうな情報をピックアップします。Aの中に同様のサービスを紹介したページがあったら、小冊子でも大きく扱えそう。Bの基本情報はそんなに要らないかも。Cは内容によって使える要素があるかもしれません。

これで制作に入るかというと、まだまだ(しつこい?)。どんな順番で入れるかを考えます。対象がどんな人たちなのかでガラッと変わります。

 ・一度この会社のサービスを受けたことがある顧客
 ・名前も初めて聞く、という人
 ・サイトやSNSで薄いけれど交流がある人たち

一度サービスを受けた人ばかりなら、会社の紹介は少なくても大丈夫かも。知らない人ばっかりなら「そもそも何をする会社」「どうしてこのサービス」の説明が必要になります。

ここから制作に行けるかというと、まだまだ(しつこいです)。どんな風に読ませたいのかを決めます。読んだあと「いやー、1ページ目からめくったらつい最後まで読んじゃったよ」というストーリーを持たせたいのか。「必要なインデックスからすぐわかって使いやすいよね」という項目分けを重視するのか。ミックスするならどんな配分でいくのか。これでやっと材料のつなぎ方の目処が立ちます。

最低限、上記の「決める」をやったあとでないと制作に進めません。最初に決めておかないと作っている途中で道に迷うからです。途中で引き返すと泣きたいほど時間をロスします(経験者は知っているはず)。決めたら、必要な要素を拾ってあとは「捨てる」。

雑誌や新聞などの編集はまさにこれ。みんなが知っている情報をどんな順番で組み立てて、どんな意味づけをするか。「これってこういうことじゃないの?」という提示を世の中に向かって毎日やっています。読ませたい文脈から外れる要素は捨てます。確信を持って印象を「操作」している部分もあるかもしれません。

今回、小冊子制作を例にしてみました。ABCの単純なコピペでも文字数は埋まるので、それでよいのであれば正直自分でやるのが早いです。わざわざコストをかける意味がないというか。

今ある材料で「新しい文脈、ストーリー」を組み立てたい、「新しい意味」を加えたい、という場合は、始めると本業を圧迫するくらい時間がかかります。そんなときは私以外でも構わないのでぜひプロに依頼してください。

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