ライターとして仕事を請けるとき、いつも確認していること

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ライターがどうやって仕事を請けるか、昔から議論されています。よく見かけるのは「安く請けてしまった」というライター側の嘆き、「コミュニケーションや連絡が取れなくなった」という発注側の嘆き。一見正反対の立場ですが、本質を突き詰めるとどちらも作業を始める前のコミュニケーション不足が生み出している問題ではないでしょうか。

私はもともとが営業職だったこともあり契約ごとはできるだけ文面で確認しておきたい性格です。でもライターの仕事を始めてみて、この感覚が業界の中では少数派なのだと知りました。初期の頃は「そういうしきたりなのか」と真似していたのですが、やっぱり問題が起こってしまいます。

経験を重ねるうち、最低限これだけは確認しておこうという項目が固まってきました。

私の業務には大きく分けて2つの領域があります。

1つは、一般企業のサイトやインタビューなど
【A:ライティングの相場や手順を知らないお客様】が相手のケース。

もう1つは、制作会社や出版社など
【B:自業界のしきたりがすでに存在するお客様】が相手のケースです。

AとB、それぞれでどんな確認をしているのかまとめてみました(個人事業主で活動しているので法人としての確認はこの記事の範疇外です)。

仕事を請けるか判断するための確認

[A・B共通]

お問い合わせがあったとき、必ず確認するのは以下です。

① どこに掲載する予定なのか?
② どのくらいのスペースに入れるのか?
③ 誰に伝えたいのか?
④ どんな「読後感」がほしいのか?
⑤ 期日はいつか?
⑥ 予算はいくらか?

定まっていない場合は主にメールでやり取りしながらお聞きしていきます。その間に相手の予算や文章が必要な理由、必要な分量などが見えてきます。しかし、単に「何かいい文章を載せたい」「詳しいことは決まっていない」という話であれば、ライターの出番は早すぎるので「定まってから再度ご連絡をください」と伝えます。

あまりにも期日が早すぎるもの、取材可能日が1日だけですでにこちらの先約が入っているもの、予算が低すぎるものは「ご連絡をいただいた上で申し訳ないのですが」とお断りします。

逆に、想定した予算より低くても、やってみたいと思える案件は引き受けることがあります。引き受ける段階で金額は判明しているので、この時点で納得して受注した場合は納品完了まで金額に関する不安や疑念は起きません。「不安になるだろうな」と思うような案件なら断るほうを選びます。

何度聞いても予算が出てこなかったり、内容がグラグラするようであれば引き受けません。おそらく作成過程でも明確な指示や意見が出ず、下流工程のライターが苦労するのが予想されるからです。

[Aケース]

一般企業がお客様の場合、必ずお見積書を作成します。

私の場合は料金設定が【取材費+テキスト作成費+交通費】の合計です。必要なテキスト分量、取材先住所がわかれば【時間、文字数、交通費】が判明してお見積書が作成できます。

どのくらいの文字数が必要かは、同業他社のページや担当者とのやり取りから算出でき、文字数と内容がわかれば必要な取材時間が割り出せます。お客様事例など類型のインタビューは短めでも大丈夫ですが、専門的な話や「見せ方」の相談をしながら進めたいインタビューは長めの設定をします。

お見積書はメールで添付。もしオーバーすると返信があれば文字量や時間を調整してご予算内に収めます(調整がつかないときは先方から断られることもあります)。お見積金額に対してメールで承諾をいただいたあと、取材日程の調整を行います。

[Bケース]

書籍出版やwebメディアなど、すでに業界内の相場や手法が確立しているお取引先の場合は、お見積書の往復が正直難しいと感じました。手続き自体が「面倒」と取られ、そういったライターが敬遠される空気があるからです。実際、先輩ライターに「そのやり方はまずい」とアドバイスされたこともあります。

それでも報酬に関しては必ずメールで明示いただくよう、お願いしています。口約束では証拠が残らず揉め事のタネになってしまうかもしれません。それは絶対に防ぎたいので電話で依頼があったあとも「数字の間違いは怖いので一度メールでください」とお願いします。

ただ、しっかりした制作会社や出版社は後日改めて文書やデータで「ご契約内容」をまとめて送ってくれます。契約書、発注請書、納品書のやり取りを求められるケースも増えてきました。担当者や企業によって温度差があるようです。

過去、金額について「ごにょごにょ」しているお取引先は、かなりの高確率で後々イヤな思いをしました。たとえばお見積書を出しても明確にOKを出さないところや、いつまでたっても金額を確定させないところなど。金額を確定させたくなさそうな空気をびんびん感じます。

揉め事で一番困るのは他のお客様の案件にまで影響が出てしまうこと。制作に集中できなくなったり、イライラして仕事が手につかないようではお金をいただいたお客様に失礼です。危なっかしいと感じたら最近は割り切って「それでは結構です」とこちらからNOを言うようになりました。

作業工程の確認

[Aケース]

出来上がり状態は知っているけれど、どんな工程でその形になるのか知らないお客様もたくさんいらっしゃいます。というか、一般企業から依頼を受けると「どう作るか」の説明なしでは先に進めません。

お問い合わせ後、お見積もり未満の段階でも「こういう手順で作っています」と工程説明を行っています。

1)書く目的と読んでもらいたい対象の確認

2)狙う読後感と効果の確認(印象アップ、購買、来店など)

3)掲載したい場所に合わせて文字量を設定する

4)文字量と内容の難易度に合わせて取材時間を設定する

5)取材日を設定する、先方のデットラインも確認

6)取材する

7)取材後7営業日で第1稿が出る

8)第1稿に対して○日後までに修正を指示してもらう

9)修正後OKが出たら納品とする

10)納品月末にご請求書を発行する

11)翌月末日までのお振り込みをお願いする

上記は最も基本的なスケジュールです。

もし「取材中に文字数を変更したくなるかも」と言われたら、掲載する場所を見て「○字以上になったら読者が読みにくくなると思うので上限○字がおすすめです」などアドバイスし「その点を含めて当日に相談して決定します」とお伝えします。書いている途中や書き終わったあとの変更だと時間をムダにしてしまうからです。

取材人数が増えそうだという話であれば「増えると判明した時点で新たに加算したお見積書を出し直します」と約束します。最終金額は必ずお見積書に落とし込むようにしています。

修正の日程は取材前にもざっくり確認しますが、取材後その場ですぐに第1稿の提出日と1回目の修正期限は約束しています。お客様に納品期限がある場合はとても大切な取り決めになるので、なるべく早く確約するようにします。

何事も、早く知らせておけばトラブルは減ります。

もし作成に時間がかかりそうなら、取材したその場で「今日のお話はまとめるのにかかりそうなので○日提出でもいいですか」と聞きます。他の仕事があって作業日の確保が難しい期間であれば、正直に「他の取材があり3日後からしか書く作業に入れないので、最初の提出日を○日に設定してもいいですか」と交渉します。

その代わり約束した日時は必ず守ります。だからこそできない約束はしません。書く内容と分量、自分のキャパについても厳しめに見ます(=できるだろうと高をくくらずに、できないかもしれないと思って余裕を取る)。

できるだろうと軽々に引き受けてしまうと、何かあったとき自分も相手も困ります。原稿が遅れることを改めて知らせなければいけない心理的なダメージも侮れません。そうならないように事前に準備する。これは営業職のときから気をつけています。

[Bケース]

制作会社や出版社がお取引先の場合は、先方のやり方を教えてもらいながら不明点を確認するのが主なやり取りになります。最低限、確認しているのは以下です。

1)掲載場所、文字数、コンセプトの確認

2)文字数変更の可能性はあるのか、いつわかるのか

3)取材日から第1稿までは何日もらえるのか

4)第1稿提出後、どんな修正が発生しそうか

5)修正を終えて完成させるべき期日はいつか

6)お振り込みのタイミングはいつか

こちらから聞く前にすべて教えてくれるお取引先がある反面、いつまでもはっきりしない企業も存在します。ただし出版やwebメディアの業界は本当に特殊で、教えてくれないから不誠実だとは言い切れないところが難しいです。

こればっかりは担当窓口の方の様子やメールを見て「信頼できる/できない」を判断するしかなさそうです。

まとめ

上記の項目を事前に確認できればスッキリした気持ちで取材に向かえます。締切日が定まっていれば上手にペースを配分して余裕ある執筆も可能です。

たしかに「聞くのが怖い」「断るのが怖い」という気持ちはわかります。私も営業職で初めてお客様にNOを言わなければいけない瞬間はとても緊張しました。でもそれはわがままではなく良い成果物を制作するために必要なプロセス。我慢して引き受けてご迷惑をかけるという負の経験を何度かしたあと「断るべきタイミングで断るのも仕事のうち」とやっと割り切れるようになりました。

書くことに集中するためにも面倒がらずにしっかり確認するのをお勧めします。

追伸)手順をあらかじめ公開するのも有効です。私はサイトで説明しているので、お問い合わせをくださるほとんどのお客様が依頼前に手順・料金を確認してくださるようになりました。

出版や制作業務に関わる人以外は、ライターへ仕事を依頼する機会が少ないかもしれません。お客様からも 「ライターを見つけたけれど、どうやって頼めばいいの?」 「何を準備すればいいですか?」 というお問い合わせをいただきます。そこで、このページでは【初めてライターに仕事を頼むときどうすればいいのか】をまとめました。

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