【本】そこを丹念に拾うのか、の小説
- 2011.08.08
- 更新日:2013.07.25
- 書評・評論
玄月 著『蔭の棲みか』(文春文庫)です。芥川賞をとった表題作が入っている短編集。作者の出自と深い関連がある在日の人たちの生活が描き出されています。
文そのものはとてもあっさり味で簡潔な描写なのですが、「そこを丹念に拾うのか」という独特の目の付けどころ。どちらかというとマイナスの感情や出来事、後ろ暗いものがたくさん登場します。それを淡々と、でも細やかに文字に乗せている。
えぐい場面もちらほらあります。劇的なところもあるわりにはさらりと過ぎていく。それが日常なのだ、という表れなのかもしれません。
玄月さんは、大阪・南船場に文学バー「リズール」をオープンしています。フランス語で読書家という意味だそうです。お酒を飲みながら本を読んだり、書籍に関連するイベントが開かれたりしています。もちろん玄月さんご本人に会うことも可能。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~liseur/
以前ドキドキしながら入ってみたところ、カウンターに玄月さんが! 知り合いの方と談笑されていて、ちらりと目が合ったときに会釈をしたら返してくださいました。ドキドキ。フライドポテトがおいしかったです。カレーが気になります。
タイトルのせいもあって「蔭」のイメージが勝手にあったのですが、すらっと洗練されて落ち着いた雰囲気のある方でした。テレビでバーが紹介されたときも気さくな感じで。
この本も、アマゾンレビューに書いてあるよりはるかにすんなり読める本です。
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