戦前の『NIPPON』って雑誌がすごかったんです
思いっきり趣味の話なんですけども。 1920年代の広告を集めたサイトを見つけて、走馬燈のようにいろんなことを思い出しました。
ここに『NIPPON』という雑誌が載っているんです。調べてみたら国書刊行会というところから復刻版が出ているんですね。べらぼうな値段ですが、ううう、いいな。
『NIPPON』は、1934年から刊行された対外プロパガンダ雑誌。要するに「日本ってこんなにイケてる国だぜ!」というのを列強の皆々様にお知らせするための宣伝用雑誌です。36号+増刊5冊があるらしい。
特徴は、なんと言ってもグラフィックの質。ドイツを経験しているフォトジャーナリスト名取洋之助のもと、東京オリンピックのポスターデザインでも有名な亀倉雄策や、写真家の木村伊兵衛、土門拳などなど錚々たるメンバーが参加。
デザイナーと写真家が威信をかけて全力コラボした雑誌で、大胆な誌面構成と飛び抜けたモダンなセンスは見たら度肝を抜かれますよ。戦前にこんなすごいモノが出ていたのかと。
皺ひとつひとつが雄弁に人生を語るほどアップで迫った写真もあれば、軍隊や看護婦さんたちの整然と並んだ姿が幾何学的に配置された写真など、初めて「1枚の写真のパワー」に意識をなぎ倒されました。ずっと見ていたい。「日本すごいぜ」本なので、場面の切り取り方や出てくる普通の人々が超かっこいい。
どうしてそんな雑誌に出会ったのかというと。
新卒で入った会社の本棚に、この雑誌展の図録があったんです。何気なくめくったら、1枚1枚のクオリティーがすごいこと! 図録ごともらって帰りたかったのですが、会社のモノなので諦めました。今もまだあるのかなー。この本がきっかけで酒田市の「土門拳美術館」に行ってみたり。ほかのカメラ本を見てみたり。影響を受けまくった雑誌です。
図録は手に入らなかったのですが、のちのち刊行された本ならお手頃価格で入手可能です。もちろん持ってますよ!
名取洋之助と日本工房(1931‐45)
『NIPPON』と同時期に出ている対外宣伝誌『FRONT』というのもあるんですが、この2つが戦前グラフィックデザインの頂点を極めていたそうです。見てるだけで楽しい♪
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