地味にスゴイ?! 1万ダウンロードを超えた電子書籍で気になること2つ
自著の話です。2016年8月に刊行した電子書籍『人生が変わる会話術』、おかげさまで1万ダウンロードを超えました。価格が紙書籍より安いとはいえ、「書籍を1万部売る」のがとても困難なこの時期でよく到達できたと思います。お買い上げくださった皆さんのおかげです、どうもありがとうございます!
ただ、これまで自分が考えていたイメージの「1万部」とは違うんだなあと思った点が2つあるので、まとめてみました。
1)ブーストさせる働きかけが特にない
ブーストとは「引き上げる、押し上げる」という意味があります。出版に関する業界では、何か1つのニュースがあったとしたらそれを足がかりにブーストを狙った働きかけをするんじゃないかと思っていました。
新聞の書籍広告でも「○万部突破!」「○刷!」などの数字が躍ります。ああいうPRができるんじゃないか、出てくるんじゃないか。1万ダウンロードという言葉ならそういったブースト用ネタに使えそうな気がします。
でもまず、この「1万ダウンロードを超えた」という知らせ自体が「あっ、そういえば」という感じで届きました。「突破しました!」というメールでもなく、公式アカウントなどの投稿でもなく、たまたま10月下旬のFacebookの投稿に担当編集さんがコメントをつけたので「あっ、そうなんですか…」と。
たしかに昨年末の段階で8500ダウンロードは超えていて、Amazon kindleの月替わりセールに選ばれることが何度かあったので「今年は1万に届くはず」という情報はもらっていました。通過したけど結構あっさり(笑)
何せ忘却されていたくらいなので、良くも悪くも版元が力を入れているタイトルではなかったといえます。
2)無名著者、でも1万ダウンロード超
正直いって、世の中のほとんどの人は丘村奈央子を知りません。もちろん仕事でお世話になったり、以前から応援して支えてくださったりする方はいらっしゃいます。特にこちらへのアプローチはなくともSNSなどを定期的に見てくださる方もいるでしょう。でもたぶん3桁には届きません。
Amazonの書籍サイトの情報を見ても著者力はほぼゼロ、手がかりになるのは内容案内とレビューだけです。それでも1万人以上にダウンロードしてもらっている。紙の書籍として買えるプリントオンデマンド版も400部を超えているそうです。これって地味にスゴイのではないでしょうか。
自然発生的に起こっているブーストといえるのが、時折書き込んでいただくAmazonレビューです。最初は知り合いの方が多かったのですが、現在23本あるうちのほとんどは、偶然この電子書籍を見つけて「良かった」と思ってくださった読者さん。それがまた次の関心を引き出して、新しい読者へつないでくれます。
言い換えると、中身だけ見て買われていっている。
それなら「良いものを作ると売れる」のかどうか
物販を始めようとすると、よく「良いものを作ればいいってもんじゃないよ」というアドバイスを受けます。モノの良さだけで勝負していてはダメで、やっぱり売れるための下地作りや自己ブランディングにも努めなければいけない。たしかにそれは的を射ていると思います。
ただ、自分に起こっているこの現象を見ると「良いものを作れば、わかってくれる人が買ってくれる」という説も捨て切れません。積極的な販促をしていない、著者の力もイマイチという状況で売れることが可能なら、他の人・他の商品でも再現できるのではないでしょうか。まだ道が残されている気がしてなりません。
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『人生が変わる会話術』は2016年に刊行したものですが、電子書籍という形式のおかげで絶版にならず少しずつ届けることができます。1万ダウンロードに達した後も手に取ってくださる人がいます。
ちょうどそれは、一度打ち上げた惑星探査機のボイジャーを見守るのと似ています。打ち上げた後は自分が知らない未知の世界に飛び出していって、どんどん遠くに行くけれど、時々果ての情報を教えてくれる存在。この電子書籍でも、ダウンロード数が伸びたりレビューが増えたりするたびに「おお!」と新しい発見をします。
たしかに地味な売れ行きだけれど、地味なまま新しい読者さんに会って、これからも知らない世界を見せてもらえることを楽しみにしています。
▼電子書籍版
▼紙の本で届くプリントオンデマンド版、割高ですが電子が苦手な方はおすすめ(街の本屋さんでは売っていないのでご注意を!)
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