[書評]『職業、ブックライター。』上阪徹
ブックライターとは著者に代わって書籍を書き上げる職業。これまではフリーライター/ゴーストライターと呼ばれていましたが、この本の著者である上阪さんが「イメージを変えたい」とこの職業名を提唱しています。文章術の本ではありません。書籍という面白い文章パズルを1冊分、どうやって材料を揃えるか、どうやって組んでいくか、詳細に解説している本です。来年の私の仕事を左右しそう。
個人的な事情を述べると、先日ブックライターとして関わった商業出版1冊目が無事刊行されました。来月は別の出版社からブックライター2冊目の仕事をいただいています。
1冊目は企画から目次づくり、ライティングまでをがむしゃらにやってゴールに辿り着いた感があるのですが、2冊目からはどんなスタンスで書いていったらいいのか。考えているときにちょうどこの本に出会いました。
ブックライターという仕事の紹介から始まり、編集者との関係づくり、報酬の話、まとめ方、時間管理まで「こんなに細かく!」とびっくりするほど詳しく書いてあります。
東京のライターさんだと出版社や編集プロダクション出身の方が多いので出版界の仕事の流れや事情をよくご存じです。でも私は企業勤めのOLからライターと名乗るようになったので、第2章の書籍ビジネスの説明はとてもわかりやすく勉強になりました。
第3章は書籍以外の書く仕事をしている人でも思い当たるシーンがたくさんあるのではないでしょうか。必要なコミュニケーション力についてページが割かれています。
第4章は原稿用紙300枚ほどにもなる書籍をどうやって組み立てるか。実際に手がけられた本を例に、目次ができるまでの思考手順が述べられています。考えるのは一瞬だと思うのですが、それをテキストに起こしてあるのはすごい、そして貴重。頭の中を開いて見せてもらっているようです。
第5章は、2冊目を書くときに絶対に真似しよう!と思うメソッド満載です。時間配分はどうしたものか悩んでいたのですが、どんな考え方でまとまった時間を確保していくのかよくわかりました。やってみよう!
自分が今までやってきたのと同じやり方が書いてあったら「よっしゃー」と喜び、新しい情報があったら「ふむふむ」とメモしながら読みました。
「ああ、そうかも」と腑に落ちたのは、上阪さんも文章力を磨くのに週刊誌を参考にしたくだりです。
ライターの看板を掲げていると「どうやったら文章がうまくなりますか」という質問をよく受けるのですが、私の場合は好きで書いていたらいつの間にか、というのが答えです。話すのが苦手なので何度も見ながらわかりやすく直せる「書き言葉」が性に合っています。
ただ、昔から父親が出張や会社帰りに週刊誌を買い込んでくるので、それを読破するのが習慣でした。文春、新潮、朝日など雑誌ごとにカラーがありつつ、それぞれ簡潔な表現でわかりやすく書かれている。染みついているのはその文体かもしれません。
そういえば卒論も担当教授から「面白かったけど週刊誌を読んでいるようだった」と言われたのも思い出しました(よく卒業できたな…)。
もちろん上阪さんの文章はもっとシンプルでスッキリした書き方。私は話の持っていき方や1文の要素をまだまだ学ばなければいけません。
第6章の締切を守る話は私も心当たりがあります。約束した日に提出したら「本当に送っていただいてありがとうございます!!」とめちゃくちゃ喜ばれて、その反応に驚いたのです。どういう事情でそんなことになっているのかは本を読んで理解しました。
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ブックライターとしての先輩はたくさんいらっしゃると思うのですが、これからやってみようという自分にとって、この本は本当にありがたい1冊です。迷ったときに何度も開くと思います。
まず自分のサイトや肩書きを変えてみる。意識して書く時間を確保する。相場を見に行く。大きなモニター導入を検討する(笑)やるべきことがいっぱいあります。
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