[書評]『それでもあきらめない ハーバードが私に教えてくれたこと』林英恵 著
- 2013.12.02
- 更新日:2020.06.06
- 書評・評論
先日渋谷で開かれた読書会で課題本になりました。参加の申込をして「買おう」と思っていた2日後、意外な方からこの本がプレゼントされました! 引き寄せってやつなのか?! いろいろ願ってみるものですね。写真に付箋がついているのは読書会用の目印です。
いろんな「ハーバード本」が出ているのでタイトルを見たときの印象は「頭のいい人のエリートコースまっしぐら本」。でもめくってみて逆の話なのだとわかりました。著者の林英恵さんは大学を出ても就職口がなく、同期の姿を見てますます自信がなくなるような生活。そこからハーバードへ行って帰ってきました。
1つだけ「ああそうか」と考えてしまったのは「はじめに」の時点で林さんに英語圏の海外留学経験があり、ボストン大学教育大学院にはエッセイなどを含めた願書を出すだけの語学力があること。まずそこだよねえ…とちょっと萎えながらプロローグへ。
プロローグで感じたのは、どれだけ実力やキャリアがあったとしても「自信がない」という状態はすべてをひっくり返してしまうこと。傍から見ると有名大を出て留学経験があり実務をこなせるだけの力があるのに、本人がこうなりたいというラインをクリアしていなかったら、本人にとっては何もないのと同じなんですね。
だからハーバードへ行くバネが生まれた=この本ができた、というのがいえますが。これは制作側がねらった読み方とは違うのかもしれません。
20代半ばで気づいたことが書かれているので、40代目前の自分だと「そうか、そう考えるのか」と「ああ、自分もそうしている」という部分が混在します。
その中で、これは昔も今も自分に足りないなというポイントがありました。それは「人に助けを求めること」。ハーバードの様子を読んでいくと人を頼る大切さが見えてきます。
たとえばグループワークなら役割を決めてみんなで進めたほうが効率がよい。意見もブラッシュアップされる。学校生活で悩んだらアカデミックカウンセラーに相談すると、個々の事情を汲み取ったうえでベストの指南を得られる。インターンに悩んだらキャリアカウンセラーがアドバイスをくれ、国境を飛び越えるようなツテとパワーをもらえる。
同級生もスタッフも一流で、その人たちの助けを得て自分を伸ばしたり可能性を広げられる。自分も一流の相手に大きな影響を与えられるのが、ハーバード大学。だから世界中の能力の高い人たちがこぞって行きたくなる。自分だけをどうにかする場所ではないなと思いました。
私が今からハーバードに行くのは難しいのですが、環境を「ハーバード化」するのはトライできそうです。つまり、助けを求めてもよい自分になる、助けてもらえる人たちとつながる、助けられるだけのスキルを持つ自分になる。助けられっぱなしではダメで、自分も何かスキルを提供してこその共同作業なのは大前提です。
勉学だけでなくコミュニケーション能力を学ぶ課程もあるそうなので、うまく人と組めるようになるのも目標の1つ。ハーバードはきっとこれが経済的にも規模的にも能力的にも高い場所で繰り広げられていて、社会に影響を与える事業ができたりするんでしょうね。
もう1つこの本を読んで思ったのは、ハーバードを出た人も自分と地続きであること。たしかにいろんな差はあるけれど、異次元の人ではなくて(笑)同じところで生活している人たちなのだな、と等身大の描写で感じました。
【インタビューライター 丘村奈央子】
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