外国語用の日本語、翻訳用の日本語
日本語がわかる人が読むための日本語のほかに、翻訳を前提とした日本語があります。
以前、メーカーの取説などを50カ国語に訳す企業でチェック作業をしていました。日本語と英語、日本語とフランス語、英語とロシア語、英語とノルウェー語などなど、いろんな文書の突き合わせをしていくと、日本語の構造を意識します。
日本語がわかる人向けの取説は、単に「○○する」とだけ書かれていてOKでも、目的語を必要とする言語に直すときは「△△を」を書き足さなければいけません。
日本語の取説から「ああ、この部分を○○するのだな」とわかればいいのですが、たまに日本語でもどれを指すのかわからないときがあります。あいまいな日本語で書かれてしまっているんですね。
同じように、「□□となる」の主語が日本語で明記されていないと、翻訳者が他の説明を読んで推測して訳すしかないときがあります。
私のチェック作業は翻訳ではなく、レイアウトやノンブル、品番や項目数などを見ていくのですが、簡単な部品の名称ならその言語がわからなくても何となく推測がつきます。
元の文書にはないのに何か足されている、でも日本語を見ると果たしてこれを指すと言い切ってよいのかどうか。このレバーと訳されているけれど、隣のスイッチのことかもしれない。わからないときはマークして、翻訳者さんや元の取説をつくったメーカーに確認してもらいます。
主述がねじれていない、文章としてしつこいけれど対象物を明示している、そういう日本語はこれから世界中に発信していくときに必要だと感じました。単純な文章ほどネット翻訳のようなツールでも訳の精度が上がりますからね。
村上春樹の小説を読んだとき、海外で受けるというのは納得しました。シンプルで訳しやすい。ご本人も翻訳をされるので日本語にその傾向が出るのかもしれません。
【インタビューライター 丘村奈央子】
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