ライターが力を使うのは「書く」より「考える」
久しぶりに本業の話を。いまプロフィールや会社の歴史、回顧録まとめなどの仕事を抱えています。どれも基本は「話を聞く→考える→書く」の流れ。この中で、ライターとして力を使うのは「考える」の部分です。
もちろん材料集めとしての「聞く」や形を整える「書く」は必須ですが、ライターさんで個性が出てくるのは「どんな流れで書くか」。
書き出しをどのエピソードにするか、どんな筆致をめざすのかは事前の準備で決めます。また、聞いた話をどの文脈で使うかで、読み終わったあとの印象が変わってしまいます。同じ話を聞いても「相手がどんな意図でその話をしているのか」を考える。
テレビか雑誌か忘れましたが、リフォームのお客さんのこんな話を聞いたことがあります。
施主の奥さんが「とにかく散らかっているものを収めたい」「どの部屋も大容量の収納スペースをたくさんつけてほしい」と主張していました。額面通りに受け取れば「収納いっぱいの家」になりますが、その設計士さんは収納にこだわらない違う形で作ることにしました。
話を聞いていくと、どうも奥さんが求めているのは「ゆったりスペースでの家族の団らん」。モノがどう、というのは奥さんが考えた結果辿り着いた答えの1つであって、真の目的ではなかったからです。
聞いたエピソードについて「どうしてこういう表現で言うのだろう」「何を主張したくてこの話をするんだろう」となるべく言葉未満の部分を考えるのが「ライター的」な仕事になります。書く一歩手前の作業。そこが面白いんですけどね。
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