『エッセンシャル思考』で自分のライター仕事を考えてみた
つい先ほど「ビジネス書大賞2015」で書店賞を受賞したという『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』(かんき出版)。たぶん受賞が決まった頃に読み終えました。もう10万部以上売れているそうなのでご存じの方が多いかもしれません。サブタイトルにある「最少の時間で成果を最大にする」を実現するために何をすればよいのか書かれています。
これを今の自分の仕事に当てはめてみると、意外と半分くらいできていて、あと半分の詰めが甘い、という感じ。自分メモを兼ねてまとめてみました。
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私は派遣OLとして企業で働いたあと、5年前にフリーライターになりました。担当する業務をどう捌いていくかが日々の課題だったところから、何をしても自由な身の上に激変。
初めの頃はこの本でいうところの「選択肢多すぎ、全部に手を出す」状態でした。でも今はかなりスパッと割り切った働き方ができています。
『エッセンシャル思考』な部分
①選択肢を切り捨てた—PART2の実践
独立当初の私の料金メニューはごった煮でした。OL時代にIllustratorで簡単な広告を作ったりしていたので、簡単なものであればデザインレイアウト系の仕事も「できなくはない」。タイピングが嫌いではないので音声起こしも「できなくはない」。一応ユーザーではあるので化粧品や美容記事の作成も「できなくはない」。
でも実際に引き受けてみると本当に「できなくはない」範囲でしかできないことがわかりました。得意な人ならもっと早くもっと上手に仕上げられます。苦手な分野に無理して取り組むと時間がかかって精神的にもきつくなるので、メニューから外すことにしました。
以来、基本は「聞いて書く」「エンタメ系より会社系」の仕事に絞っています。「美容・音楽・ファッション系」よりは「経営・技術・人物フォーカス系」。まさにP.144の実践です。分野が離れていると思ったらお問い合わせ時に先方に伝えて、断ることもあります。
受注数は減ったかもしれませんが、迷わなくなったぶん得意なことに集中できるようになりました。
②割り振る時間・期間を考える—PART3の実践
ライティングまでが仕事なので、戻ったら必ず作業する時間があります。闇雲に引き受けて書く時間がなくなると、困るのは自分です。受注するときは作業日数も考慮して返答します。
現状を考えてお問い合わせフォームの上に【取材日は最速で○月○日となります】という一文を載せるようになってから、急ぎの仕事や焦りながら作業する回数が格段に減りました。第14章でいうところの「線引き」です。
納期が迫っている場合は他のライターさんに行ってもらい、遅くなっても発注可というお客様からだけ、お申し込みが来ます。
③業務と報酬のバランスを考える—PART3の実践
いくら時間的な余裕があっても、作業量と報酬のバランスを見たときに「これはちょっと」と思えば、お断りすることがあります。
P.171にもあったとおり「ここでイエスと言ったら何を失うのか」を考えるからです。目的がはっきりしない記事なら書き直しや曖昧な指示で時間が失われます。報酬が低い記事なら「作業量のわりに報われない」という気持ちを抱えることになります。
それよりは、目的が定まり(自分が考える)適正料金で信頼してくれるお客様のために力を使いたい。
これは何度か「イエスと言ったらこうなるのか…」を思い知ったから「ノー」と言えるようになったのかもしれません。
④実行する—PART4の実践
自分のポリシーが固まったら、あとはそれを表明するだけです。私の場合は公式サイトやこのブログ、冊子版の事業案内(いわゆるセルフマガジン)などを使ってお知らせしています。
P.251のように「早く小さく始める」のであれば、SNSの自己紹介欄に明記したり、お問い合わせフォームの周りに一言書くだけでも状況が変わります。
いろんなことを切り捨てているので何かの機会は逃しているはずです。もっとキツキツに仕事を詰めれば収入も確実に上がります。でも「責任を持てる範囲で得意なことを使い、誰かの役に立つ」という物差しで考えると、今のペースが自分には合っているようです。
まだ『エッセンシャル思考』でない部分
本を読んでいて「この辺はまだまだだな」と思った項目もいくつかありました。
①本質を見る
P.97の象徴的な「要約」の話のように、見えていないものまで考える洞察力は足りないと感じます。
②遊び
P.115のように意識して遊びを取り入れるというところまでは未達。遊んでいたら楽しかったとか、気がついたら遊んでいたというのはありますが、メリハリをつけるために意識するのはもう少しかかりそう。
③習慣づけ
P.254のように「本質的な行動を習慣づける」のは最近の課題です。やめなければいけない習慣とか、わかっちゃいるけど腰が重い習慣はいろいろあるんですけど。ただ、この本で一流どころの人たちがどれだけ強く「良い習慣」を持っているのか読むと、心を入れ替えなきゃいかんなと思います。
まとめ
どの章も「そうだよな、そうあるべきだよな」と納得して読めました。ライターとして『エッセンシャル思考』を落とし込めているところ、落とし込めていないところの濃淡をなくすのが目標です。
人によっては収入を上げるのが目標になるかもしれないし、自分もそこは外せないのですが、だからといって無理やり増やすのではなく、ペースを保ったまま進歩できればいいなと考えています。
忘れてはいけないのは、こちら目線で「削除/切る/捨てる」という作業ができるかわりに、出会う相手方もこちらを天秤にかけながら「削除/切る/捨てる」をする可能性があるということ。
そこはお互い様ということで、切られても無駄に気に病んだりしないようにします。
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