インタビュースキルは、一般企業での文書作成やサイトづくりでも活用できます。ここでは私が実践しているインタビューの方法や記事の書き方、聞き方のコツをまとめてみました。お金をかけてライターに頼むほどではない、自分でやってみたいという方はぜひ実践してみてください。
目次
インタビュー記事では相手が話した言葉が一番力を持ちます。資料から調べて分かるなら、お互いにわざわざ時間を作って話を聞かなくてもいいはず。あえて聞きにいくということは、調べても分からない、その人だけが知っている情報を受け取りに行くということです。
インタビューは当事者からの生情報をたくさん集められるチャンスです。せっかくの機会を生かすにはセオリーとなる手順を踏む必要があります。インタビューをする前にぜひ各項目をチェックしてください。
以下で詳しく説明します。
人に話を聞こうと考えたとき、必ず最終目的があります。プロフィール作成なら、読んだ人に対して「こんな人物に見られたい」という着地点があります。顧客/ユーザーにインタビューするなら「自社製品を褒めてほしい」「ここで役立つことを周知させたい」など、文章を作った後に起こってほしい効果と目的があるはずです。
だから、話を聞きに行く前に、必ずインタビューの最終目的を明らかにして書き残してください。
ただ漠然と「話を聞きたい」というだけでは相手も何を話せばいいか困ってしまいます。どんな情報がほしいのか、何を話してほしいのかを、インタビューする側が事前にはっきり意識してメモで見える化します。当日はこのメモを持って見えるところへ置いてください。
こんな感じで構いません。
Aさんがとても誠実で真面目に仕事をする人なのだと伝える
○○という製品は初心者にも使いやすいと知ってもらう
▲▲というサービスは他社より断然コスパがいいと分かってもらう
地道な■■という活動がこれまでに積み重ねた実績を知ってもらう
インタビューの途中で「何しに来たっけ?」と分からなくなったら、このメモを見てください。何を聞くべきかを思い出せます。
聞きたい質問は当日までに用意しておきます。アドリブで全てを乗り切るのはとても難しいです。何を聞きたいのか目的をはっきりさせたら、それを引き出すための質問を準備しましょう。
例)社内報記事のためにA課長にインタビュー
良きリーダー論を書きたい↓
仕事のチームワークの作り方や部下との付き合い方
A課長がその方法を見つけるまでの苦労
スポーツで賞を取った話を書きたい↓
仕事時間との両立や競技の難しいポイント
大会に出たときの様子
仕事の話と趣味の話では、すべき質問が全然違います。これは前日までに意識しなければいけないことですが、質問を考えているときに気づける事実でもあります。当日の質問のブレ、時間の浪費を防ぐためにも、インタビュー質問は事前準備しましょう。
事前質問は、なるべくたくさんあったほうが自分が安心します。現場で話が途切れたときも役立ちます。どんな観点から質問を探せばいいのか、以下を参考にしてください。
相手のブログやサイト、会社サイト↓
どんな人なのか/どんな経歴なのか/最近何をしているのか、などの基本情報
相手の経歴↓
なぜこの仕事から今の仕事になったんだろう/この仕事の面白い部分はどこだろう/この職業の人はこんな苦労がありそう/この年齢で決断をしたきっかけは何か、などの疑問
その他、書き留めるとよいこと↓
これって何だろう?/どうしてこうしたのだろう?/こうではないか?、など調べている最中に思ったこと全部
自分が立てた仮説が合っていれば続けて話してくれますし、間違っていたら訂正してくれるので、私は「聞いてはいけない質問」はないと考えています。仮説から話が広がることも十分あります。誹謗中傷でなければ大丈夫です。見つけた「謎」について積極的に尋ねてください。
インタビューで面白いのは、聞き手によって「視点と聞きたいこと」が異なるところです。同じ人に話を聞く場合でも、Aさんが聞きたいこととBさんが聞きたいことは違います。どちらも合っていて間違いではありません。質問の違いがインタビュアーの個性やオリジナル文につながります。
質問はなるべく多く準備してプリントアウトしたものを持っておきます。話に詰まったらカンペのように参照してください。
一番の基本は、質問リストを見ながら質問をしていくことです。しかし、リスト全部を上から順番に聞くのが大事ではなく、時間内に8割が聞けたらOKと考えてください。また、私の場合は順番に一問一答のように聞く方法を避けます。それでは話が広がらないからです。
きっかけは質問リストの質問ですが、その後は相手の話題を深掘りするような問いを重ねていきます。「リスト1が聞けたから、次はリスト2だ」とは考えません。「リスト1がこうなら、1-1、1−2、1−3には何があるのだろう」という考え方が基本です。
人との会話はキャッチボールのようなやり取りが必要です。一方通行では聞き手も話し手もつらい時間になってしまうので、こんな聞き方を試してみてください。
一番簡単な返し方↓
冒頭に「それって…」「その○○は…」など
「それ・その」などを使って相手の答えを受ける言葉から始める
それはどこですか/その○○は楽しいですか/それって何分くらいですか、など
「リスト1が聞けたから、次はリスト2だ」と思って次の話題に移ると、相手はせっかく答えた言葉が無駄になったように感じてしまいます。リスト1でもらった回答は次の質問にも生かします。上記の聞き方は「あなたの話を受け止めていますよ」というサインになるので、相手は「さっきの回答でよかったんだ」と安心して次を答えやすくなります。
相手の答えは手書きメモに残してもいいし、ICレコーダーなどで録音してもOKです。私はメモを取るのが苦手なので音声で記録を残すようにしています。
インタビューが終わったら聞き出した内容を整理してみましょう。
私の場合は、ICレコーダーの音声を文字起こししてテキストに直します。そのときはなるべく話し言葉を省略せずに、口調なども残すように文字にします。そのほうが相手の口癖や特徴が分かりやすく、原稿に生かせるからです。
全体を捉えたテキストから、箇条書きでインタビューの内容を書き出します。最初は時系列で構いません。話した順番に箇条書きでポイントを並べてみてください。次に、その箇条書きの順番を入れ替えて読者にとって分かりやすい説明の順番を考えます。
このほか、相手が話した中であなたが一番読者に届けたい言葉やフレーズを見つけてください。「この発言をぜひ読んでほしい」「これはいいことを言ってくれた」、そんな言葉がありませんでしたか。これが記事の核=読んだ人に一番知ってほしいポイントになります。
インタビュー記事は聞いた順に書かなくてもよいものです。一番言いたいことが読者の頭に残るよう、書き手が構成ます。記事の最後に、先ほど見つけた「一番届けたい言葉・フレーズ」を持ってくると組み立てやすくなります。最後の部分が読み終わったときの印象になるからです。
長いインタビュー記事を組み立てるとき、以下の構成(話の順番)が一番シンプルです。
①最初は、ネガティブな情報(困ったポイントなど)を書く
②そうなったきっかけや理由を書く
③具体的に何をしているのかを書く
④最後は、読者に覚えてほしいことを書く
さっきの課長のインタビューを例にします。
良きリーダー論:
①まとまらないチーム
②リーダーに目覚めたきっかけ
③チーム改革の具体案
④その課長が大切にしていること
スポーツで賞をとった:
①ルーティンを繰り返す退屈な毎日
②そのスポーツに出合ったきっかけ
③実際の練習、苦労した点、大会当日について
④仕事と趣味の両立のポイントとは
他に、こんなパターンも考えられます。
「強い人だ」と思ってほしい ↓
弱い人だった時代から始めて、今の達成感で締める
「この製品が便利」と思ってほしい↓
不便だった頃から始めて、メリットで締める
最後は書き手にとっての最終目的(=最初に決めた目的)が達成できるように終わらせます。書き終えたら、書いた文章をインタビューした本人に確認してもらってください。OKが取れたらめでたく完成! インタビュー記事が公開できます。
自分で書いてみて、「あまりにも時間がかかる、本業を圧迫して大変」と思ったときはライターがいます。上記のポイントを踏まえて取材を行いますので、ぜひ無理をせずにプロに頼んでください。その分、皆さんは日常業務に専念できると思います。
今は企業ライター、広報ライターという肩書きで活動している企業向けライターもたくさんいます。美容師さんと同じでライターにも相性の良し悪しがあるので、お好みの筆致・仕事の進め方の人を選ぶとよいでしょう。
もちろんこちらで依頼されるのも大歓迎です。皆さんの目的に沿ったテキストを作成します。
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