自社製品・サービスがお客様に好評であれば、導入事例インタビュー(お客様の声を聞く・ユーザーインタビュー)を行って詳しく聞いてみてはどうでしょうか。やはり実際に使った人の「口コミ」は購入動機の大きなきっかけになります。記事をサイトに掲載すれば、24時間365日、その製品・サービスの長所をアピールできます。
ライターに依頼するほか、自社でお客様にインタビューを行って作成することも可能です。箇条書きで長所を並べる方法もありますが、文章として流れやストーリーを持ったほうが読み物として受け入れやすいのも事実です。ここでは導入事例インタビューの組み立て方、質問例を紹介します。
目次
導入事例インタビューには大きく2つの役割があります。
第1に読者に知ってもらいたいのはその製品・サービスの素晴らしさです。あえて時間とお金をかけて購入する価値があること、購入後に得られるメリットは何か、購入後の改善点などが文章中で求められる要素になります。
第2に知ってもらいたいのは悩みを持つ人の存在です。こんな困りごとがあった、だからこんな製品・サービスを探していた、購入したらこんなふうによかった、という具体例を書くと読み手に伝わります。また、製品・サービスを検索する人は「悩みごと+製品・サービス内容」を入力することが多く、該当する悩みや困った点がテキストに入っていると検索でヒットしやすくなります。SEOとしても有効なのです。
導入事例インタビューには上記2点が必須です。記事作成の際はこれらを得られるような質問を考え、文章を構成する必要があります。
掲載する側が言いたいこと・伝えたいことも大切ですが、読者にとっての読みやすさも大切です。言いたいことだけを詰めすぎると独りよがりになり、長所だけをグイグイ押しつけるような雰囲気を生んでしまいます。それを防ぐために事前に「本当に必要なアウトライン」を意識しておきます。
もっともコンパクトに導入事例インタビューをまとめるとしたら、文章の柱は以下の3本です。
①の困りごとの情報は、これから購入を検討する読者にとって大事な情報です。「どう困っていたのか」という理由は今の困った状況との共通点になる可能性が高いからです。同じような悩みや不都合を持っていたらこの製品・サービスで解決できると分かり、続きを読んでもらいやすくなります。
②の決め手情報は、他社と比べたときの優位性を述べやすいブロックです。具体的にどんな機能・性能を比べてみたのか、どんな方法や観点で比べたのか、結果についてどう感じたのか、購入に至る大きな後押しは何だったのか。お客様の生の声は自社ページで述べるよりも数倍の説得力を持ちます。できるだけ詳しく教えてもらうと、これから購入したい人たちの不安を取り除けます。
③のメリット情報は、「だから購入して良かったんだ」という読後感を強調するブロックです。実際に費用やコストでどんな差が出たのか、使い勝手はどうだったのか、社員やメンバーの評判はどうか、売上げには貢献したのか。似た分野のお客様が多くいたとしても効果はそれぞれでなので、聞いて文章にまとめる価値があります。詳しく聞いて書けば未来のお客様が購入後の改善を想像しやすくなります。
それでは、上記を踏まえて当日は何を聞けばよいでしょうか。①〜③の柱に沿ったよくある質問例を挙げます。さまざまな言い方をしていますが、目的は上記①〜③を明らかにして、記事にするための情報を得ることです。
各項目にある冒頭の5項目は毎回確認したほうがよいと思います。ただしお客様によって状況が異なり、描ける文字数やインタビュー時間が限られるので全部を聞くのは困難です。中でも掲載する側がプッシュしたい項目を聞くのが効率的だと思います。
例えばこの導入事例で「担当者のフォローが手厚いこと」を伝えたいのであれば、どのような疑問点が発生し、担当者がどんな具体的な方法で対応したのかを聞いて書きます。「機能が他社製品とは段違いに良いこと」を伝えたいのであれば、機能面で相手が驚いたこと、好意的に評価してくれたポイントを重点的に聞いて書きます。
ライターが担当する場合はこの点を取材前にメールなどで確認して共有し、当日は掲載する側にもメリットが出る質問を多く聞きます。
質問を一つ一つ聞いていくのもありですが、つながりを考えながら聞くと相手の背景や状況が分かり、執筆するときも流れを作りやすくなります。一番実践しやすいのは相手から出た回答をさらに深掘りする方法です。
例えば「コストが大幅にカットできたのでよかった」という回答が出たら、その先も聞けます。情報が具体的であるほど他の事例と差がつけられて書きやすくなります。
とても具体的で読み手が想像しやすいのは数値情報です。「かなり減った」というより「4時間の作業が1時間で終わるようになった」、「売上が伸びた」というより「1000万円増えた」と書くほうが読み手には分かりやすくなります。しかし会社情報を守るために実際の数字を述べるのが難しい場合があります。そのときは割合で表現するのも手です。
取材先で「その数字は出せません」と言われても「この表現なら大丈夫ですか」といくつかの書き方を確認してみてください。できれば数値情報を載せたほうが読み手の解像度が上がるからです。
インタビューで得た情報は読んでもらうための記事としてまとめます。まとめる時間がなければ上記の3つの柱を小見出しにして、得られた回答を箇条書きにして載せても構いません。お客様の声がゼロであるよりも必ず何かを掲載して、未来のお客様が調べる検索のフックを作るほうが大切だからです。
もう少し余裕がある場合は文章として組み直します。そのときも基本となるのは3つの柱です。この3つを見出しにすれば時系列で説明でき、お客様も購入・導入の流れが掴みやすいからです。
どんなエピソードがあったとしても、最後は「購入・導入してよかった」という話で締めます。どのように良かったのか、取材時に相手の方の感情が動いた部分を多めに紹介すると読み手にも伝わります。そこは実感として嘘のない、とても正直な高評価だからです。
書いた記事は、できれば一晩以上寝かせてから再確認してください。書いているときは気にならなかった文章の破綻や、話が飛んでしまった場所に気づけます。
導入事例インタビューを作成するときは時間や費用などの初期コストがかかりますが、一度掲載すれば長期にわたって価値をアピールできるストック型コンテンツになります。また、掲載を許可してくださったお客様の名前や事業内容をアピールする役割も果たせます。
もし自社で量産できる体制があるなら、積極的な制作をお勧めします。自社制作が難しい場合は、ライターなど書く仕事を行っているプロに依頼してみてください。私の場合、過去に非接触3D測定機の商社やIT系企業などの導入事例などを手がけています。「自分たちでは難しいかもなあ」と思ったらぜひご相談ください。