自社の事業内容を分かりやすく説明したいときはどうすればよいでしょうか。企業ホームページや冊子などに自分で書いてみたい方に向けて、話題の探し方と書き方のコツをお伝えします。文章の成否は「うちと他社との違いをいかに分かりやすく書くか」にかかっています。大切なのは読後のゴール設定と、自社の良いところを見つける視点です。
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その事業案内を読み終わったら、何を感じてもらいたいですか。自社についてどんな印象を残したいですか。例えば以下のような内容を最初に決めておきます。
おそらく自社の良いところ・強調したいところがポイントとして挙げられると思います。これを定めたら目的の半分は達成したといえるかもしれません。何を訴える文章を作ろうとするのか、どんなゴールに向かうのか、短くて構わないので必ず明文化して担当者内で共有してください。
では、そのゴールに向けた要素を探していきます。注意しなければいけないのは「あれも、これも」と欲張っていろんな要素を入れようとしないことです。幕の内弁当より唐揚げ弁当やステーキ弁当のほうがインパクトが強いのと同じで、長所や特徴を取り出して強調したコンテンツのほうが強く他社との差を表すことができます。
書く前に、先ほど設定した読後感に関して、こんなポイントを探してみてください。
他社と比べて安定性が優れているなら、どのように他社より安定していると言えるのか。そのためにどんな工夫をしているのか。他社と比べてパワフルな社風を伝えたいなら、どんな点で他社よりパワフルと言えるのか。自社の良いところと具体的な例の組み合わせを探してみます。そのポイントを深掘りすると「独自の事業案内」になります。
3番目の褒められる点は皆さんあまり意識していないようです。しかし、多くの同業他社から自社を選んでくれたお客様には必ず理由があります。その理由を言語化すると同じような悩みを持った読者(見込のお客様)に響く文章を作ることができます。まだ調べたことがなければ、ぜひお客様に「なぜうちを選んだか」を聞いてみてください。自分たちよりも鋭い視点で長所を教えてくれることがあります。
意外と見落としがちなのが事業案内の置き場所です。どこに置くのか、どのくらいの大きさのフォントで何文字入る場所なのか、事前に確かめておいてください。
もし狭く、短い文章しか置けないのであれば、ポイントを早く述べる構成にしなければいけません。逆に広く、長い文章を置けるのであれば、自社の長所・数値的な根拠・対外的な評価などを詳しく紹介できます。
文字は小さくなるにつれて読者には読みにくくなります。読者対象(年齢の高低など)を考えながら読みやすい大きさを決め、その大きさで何文字入るスペースなのかを逆算してください。文章はその範囲内でまとまるようにします。
個人的には、デスクトップでスクロールしたときに2画面以上続く文章は「読むのが大変だな」という印象を持ちます。また大量の文章は画面が黒くなって重く感じます。書くなら400字〜1600字ほどが最適範囲と考えています。
事業案内は、基本的にその会社を知らない人に自己紹介する文章です。対象となる読者を想定してペルソナにし「その人が分かるかどうか」を基準に書くのも一つです。こんな設定が考えられます。
「分かりやすさ」とは反対に、あえて難しい単語を散りばめることもあります。中途採用ページのテキストで「業界や技術に対して一定の理解力を持った人だけ読んでほしい」と考えるときは、専門用語を多めに使って書くこともあります。
誰に伝えるかを決めると、おのずと文体や使える語彙が限られてきます。そこから外れないように注意しながら、先ほど見つけた自社の長所や特徴を取り込み、文章を組み立てていきます。
それでは最初に決めた読後感に向かって文章をまとめてみましょう。必須なのは下記3項目で、この順番に記述すると構成がスッキリします。
冒頭は、初めて事業案内を読んだ人が「へええ、○○をしている会社なのか」と一言で表せるようなものがベストです。住宅メーカーならどんな家を建てている会社なのか、商社なら何を扱う会社なのか、サービス業ならどの分野なのか、基本的な情報は最初に知らせてください。
その上で、これまでに見つけた「他社との違い・他社と比べて優位な点」を述べます。文字数によって書ける要素は変わるので以下を参考にしてください。
①400字…上記3要素をそれぞれ2〜3文で表現すると400字ほどになる
②800字…上記①に加え、創業の志・社会貢献・将来の詳しい展開予定などを入れられる
③1000字以上…上記②に加え、具体的な金額や数値・具体的なエピソードを足せる
書くときは決めた読後感に沿う話だけを書いてください。「安定性」をテーマに据えたのであれば、業界分野を紹介するときも「設立後の年数・シェア・知名度」などに触れると「安定性」が強調できます。長所やこだわりを書くときもどのように「安定性」を担保しているのかを述べます。物流に強いのか、品数や生産ロットが多いのか、人材が豊富なのか、理由は会社ごとにあるはずです。
書き終えた後は一晩以上寝かせて推敲するのがおすすめです。書いた直後は文を読み慣れてしまっていて、見直しの目が甘くなるからです。推敲では削って磨くことを意識して見直すとさらに情報を凝縮した文章になります。削った後、文字の余裕が出たときに初めて情報の追加を考えてください。
ライターは、お客様への最初の聞き取りで目的とスペースを見極め、資料やインタビューを交えてこの企業の長所・お客様に響くポイント・効果的な強調点を考慮し、テキストを作成します。その上で求められた文字量に合うようコンテンツの密度を調整し、ターゲット読者にとって分かりやすい日本語で書きます。
皆さんは会話の流れに沿って、情報をお話しいただくだけで大丈夫です。
自力で試したものの時間がかかるのであれば、無理をせずに外注するのも手です。その時間はご自身の業務に集中できます。書くのはちょっと大変そうだなあ、と思ったらぜひご相談ください。
文章を見直す推敲ってどうすればいい?と迷う方には、こちらの動画がおすすめです。5分で見直し方の基礎が分かります。
あえて悪文を作って、1プロセスずつ文章を磨いていく長めの実況動画もあります。お時間のある方は参考にどうぞ。