隣り合わせという距離感 〜お散歩企画に行ってきました〜

隣り合わせという距離感 〜お散歩企画に行ってきました〜

普段は一般企業に出入りする仕事が多いので、いわゆるwebメディアや業界には疎いです。個人のブログやサイトまでは想像ができてもマガジン化・媒体化しているwebコンテンツの中がどうなっているのかよくわからない。モヤモヤしていたところ、面白い企画と出会いました。

ブログ「隠居系男子」のお散歩企画

鳥井弘文さん(@hirofumi2が運営している「隠居系男子」というブログがあります。鳥井さんはIT分野出身でwebメディアの編集長を経験したあと、会社を興して自前のwebメディア「灯台もと暮らし」を立ち上げた方です。

「灯台もと暮らし」は「これからの暮らしを見つめ直す」のがテーマ。生活に関わる身近な話題のほか地方にも目を向けるメディアで、現在鳥井さん以外の編集者さんたちが主に取材・執筆しています。

翻って「隠居系男子」は鳥井さんの個人的な視点やひらめきが記事になっている場所。書き手の在り方や暮らしにまつわる話が多く、読んだあとにちょっと考えたくなる。

たしか夏の終わりくらいに、ツイッターでいろんな人が鳥井さんの記事をリツイートしているのが気になって、フラッと訪れたのが始まりでした。しばらく読んでいたらお散歩企画があるのを発見。

一緒に上野公園散歩をしてくれる方の募集を再開します。

コースは上野公園を1周、だいたい40分くらい。その間に一緒に歩きながら話をしませんか、という企画です。おおお、面白そうだ。

ただ、このブログはファンが多く、私なんかよりももっと熱いパッションで読んだり働きかけたりする人たちが多い印象です。最近ちょっと読み始めただけで詳しくないけど応募しても大丈夫かなー。でもweb界隈にいる人たちがどんなことをしているのか、直接聞いてみたいしなー。

意を決して応募したところ、10/24にお会いできることになりました。

上野公園1周、隣り合わせという手頃な距離

約束の上野駅に着くと、シニアの観光客が押し寄せる押し寄せる! 行きつけはビジネス街や住宅街ばかりなので、異質なパワーに圧倒されつつ改札前で待機。スマホに目を落としていたら「丘村さんですか」と声がかかりました。

私は鳥井さんの写真をネット上で確認できるので、探すなら自分からだと思っていたんですが、どうしてわかったんだろう。顔を上げるとまさに鳥井さんが目の前にいらして「あっ、今日はどうも」とお互いご挨拶。

そのまま歩き出して「お散歩」が始まりました。

ちょっとした世間話から入り、少しプロフィールを話し、気になることがあったら質問し、面白かったら大笑いし。初対面ですが隣り合わせの距離感って面白いですね。たぶんお店だったら大きな身振り手振りはしないし、身を乗り出したり引いたりするリアクションが少なかったかもしれません。でも歩きながらだと開放されて、畏まる必要のない気楽さがありました。

上野公園1周という距離感もいい。必ずゴールがあるので長引かないぶん、今この時間をできるだけ実りあるものにしたいと自然に思えます。結局、50分くらいかけて上野駅に戻ってきて「じゃあ、ありがとうございましたー」とお別れしました。

なんかカラッとしていていいなあ。天気が快晴だったのもあるかもしれない。

私がwebについて誤解していたこと

応募するときは「web業界に疎いので、いろいろ聞きたい」と伝えました。鳥井さんは1988年生まれの28歳、私は1973年生まれの42歳。絶対に認識のズレ(違い)があるはずで、なおかつ私のほうが情報のアップデートをしないといけない。

お話をしているうちに、いくつか納得した言葉が出てきました。

■本当のことを、楽しく伝える努力

デジタルネイティブ世代はもちろん、その上の世代でも作り込んだ宣伝広告の胡散臭さは嗅ぎ分けられるようになっている。その中で刺さるのは、本当のことを楽しく伝えられているもの。

意外と「本当のこと」だけ伝えるのは楽なんですよね。嘘をつかないという基本さえ押さえればできる。でもそれを「楽しく」となると一気にハードルが上がります。たぶん私は今まで前者だけ見ていて後者を意識していませんでした。

■カテゴライズは意味をなさなくなっている

一応ターゲットとする年齢層や属性は設定するものの、コミュニティを作ってくれるのは枠とは関係ない人たちになっている。年齢が高くても低くても「提供した価値観に共感してくれる人」が集まる。だから若い人向けのつもりで作ったサービスで年配の人が来ることもあるが、それを拒否する理由はない。合う人たち同士で進めていけばいい。

何か始めるときはつい設定しちゃうんですけどね。現象として枠を取っ払った状態ができている。それでみんなうまくやっている。

■地方から双方向で発信できるようになった

鳥井さんは函館出身、私は松本出身なので、東京とそれ以外の温度差というのは体感しています。東京で流行っているといわれてもピンと来ないとか、どうしても東京優位の文化に呑まれてしまうとか。ただ近年はインターネットやSNSのおかげで様相が変わっているそうです。

地域の10代20代が個別に発信できるようになり、自分の周りにある良いものをリアルタイムで紹介するようになった。今までだったらマスメディアが紹介する「東京の良いもの」しかなかったけれど、個の発信のおかげで双方向で情報が行き交うようになった。だから地方の良いものも注目されるようになっている。

ああ、たしかに。自分が20代前半の頃はそんなツールがありませんでした。今はみんな自然に使いこなして「本当の」良いものを知りたがっている。

■ツールの存在がシームレス

たぶん私たちや上の世代だとテレビやラジオ、ネットという区別があって、ネットの中にもtwitterやFacebook、instagram、LINEなど区分けがされている。でも生まれたときからツールがあった世代は目的に適った道具を自然に選んでいて、あまり区別を感じていないんじゃないかという話も。使い分けというよりは縦横無尽に渡り歩いているようなイメージです。

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話はこれだけじゃありません。50分でもっと話せました。文章のコンプレックスの話や中国の話、PRの話など、帰りの電車で必死に記憶を巻き戻してメモ。すぐ書かないと最近忘れちゃうんですよね…。

今回鳥井さんとお話しして、知識として「こうだろうなあ」と漠然と感じていたことを実際に運用・経験している人の口から聞けて「やっぱりそうか」と腑に落ちました。

来年春のお散歩もあるそうです

鳥井さんにはとても気を遣っていただいた気がします。おかげさまでとても楽しい時間を過ごせました。50分ですが、かなり濃い50分。「へー」とか「ほー」を連発していたと思います。お散歩という着眼点が素晴らしい。ただの対面と違う空気は体験してよくわかりました。

今年の春/秋とお散歩企画が実施され、秋のぶんはすでに締め切ったそうです。でもまた来年春になったら募集するかもしれないとのこと。もちろん記事はためになることばかりなので、ライター・編集の人もそうでない人も、ぜひ一度アクセスしてみてください。

(あっ、また写真撮るの忘れた!)

 

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