編集協力した新書が出ました『超少子化 異次元の処方箋』ポプラ新書

編集協力した新書が出ました『超少子化 異次元の処方箋』ポプラ新書

2016年2月20日にNHKで放送された、NHKスペシャル「私たちのこれから #超少子化」が書籍化されることになり、編集協力で参加しました。少子化という言葉はかれこれ20年くらい聞いているはずなのですが、まだしっかりした処方箋が見つかっていません。だったら単なる精神論や世代間の温度差を取り上げるだけでなく、財源や政策など具体的な提案をしたい。そんなNHKスタッフさんたちの熱意が形になった本です。

なぜ少子化に陥ってしまったのか

今回の本で面白いなと思ったのは、具体案ももちろんですが、日本が少子化になってしまった過程を詳しく掘り下げているところでした。40年前の政策ではむしろ人口爆発による食糧危機やエネルギー危機の議論が盛んで、人口抑制が求められていました。たしかに自分が小さい頃はそんな話をよく聞いたな…。

第2次ベビーブームがいわゆる結婚適齢期にさしかかる1990年代後半は、実は当時の厚生省内でも「第3次ベビーブームが来るから大丈夫じゃないの?」という楽観論が大方を占めていたといいます。

自分は思いっきりこの世代なのですが、20代半ばはまだ結婚なんて意識していなかったし、子どものことも考えていませんでした。どちらかといえば男女雇用均等法で社会に出た先輩たちを見ながら「仕事がんばらないといかんな」という意識のほうが強かった記憶があります。

この本を作りながら自分の肌感覚と当時の政策を決めた人たちの声を重ねて、初めて「その頃の空気全体」を掴めたような気がします。

でもまだ少子化対策はある

2000年代に入って若年層の働き方や収入状況がガラッと変わり、余計に結婚や出産が遠くなってしまいました。これは白書など統計を見ると一目瞭然なんですよねえ。本にも載っています。悪いところだけ見ると絶望的になりますが、逆に出生率を高めた地域も存在します。

出生率を高めた、と数字だけでいうとドライかもしれません。「子育てが楽しい」とか「子育てで得する」とか、メリットを感じる子育て支援を実現したところ、と言ったほうがしっくりきます。

本で取り上げたのはフランス(多子になるほど経済的支援が厚い、第3子が成人するまでは3900万円相当の支援があるらしい)、スウェーデン(男性も育休を取らなければいけない仕組み)、岡山県奈義町(自治体独自の工夫で出生率2.81達成、町内は3人4人兄弟が当たり前の空気)などです。

そのほか、番組に出演した有識者の皆さんが提唱している少子化対策もいろいろ解説しています。古川憲寿さんの「0歳から6歳までの教育費を無償にする話」や「大人になって生活保護や社会インフラを使うより、乳幼児期の教育を見直してしっかり納税する能力がある人を育てたほうがいい」という考え方は面白いと思いました。

とかく「もう残された手なんてないんじゃないか」と思いがちな少子化対策ですが、まだやりようがあります。それも為政者が決断すればすぐできそうなことがたくさん。「意外と方法があるんだな」というのがまとめたときの第一印象です。

子育て世代、これから結婚や出産を考えている世代の皆さんにも読んでほしい1冊です。

(091)超少子化: 異次元の処方箋 (ポプラ新書 え 2-1)

 

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