坂東玉三郎×鼓童『アマテラス』を観てきました

坂東玉三郎×鼓童『アマテラス』を観てきました

週末、赤坂で『アマテラス』を観てきました。2カ月以上前に行くのを決めたのですが、舞台は予約が埋まるのが早いですね。かろうじて端っこのS席が取れました。これは「本物をちゃんとこの目で見なきゃ」と思い立って検索したもの。歌舞伎とは違う音楽舞踏劇なので私にとってはハードルが低くて助かりました。

お客さんは女性8割、たまに男性。どちらかというと年配の方が多い印象でした。歌舞伎を含めて何度も玉三郎さんを見慣れている人が来ている感じです。

『アマテラス』はその名の通り、古事記を題材にした物語です。場面は本当にシンプルで、アマテラスがスサノヲの乱暴に悩み、天の岩戸に隠れてしまうのが第一幕。休憩が20分。いろんな神様が岩戸の前で踊り、アマノウズメも登場してアマテラスが戻るまでが第二幕。

岩戸に隠れたとき会場の明かりがすべて消えて漆黒の闇になるので、「アマテラスさん戻って来てー!」という不安がよくわかりました…。神話の中でもまさにこういう状況だったということですよね。暗いの怖い。

鼓童の太鼓や楽曲を挟みながらストーリーが進みます。少し歌詞がありますがセリフはありません。舞台を観て思ったことがいくつか記します。


玉三郎さんの表情が豊かなこと。舞っているとき、立ち止まり他の人物を見ているとき、数歩だけ歩くとき。それぞれに「どんな感情があるのか」がわかります。ただ眉根を寄せるだけだったり、姿勢を変える際にほんの少し顔を残したり、動きは少ないけれど遠くからでもわかる。

腕を柔らかく動かして舞台後方へ戻るとき、まったく頭から腰への軸がぶれないのと、長い衣装で足元が見えないので、浮いて飛んでいるのかと思いました。


アマノウズメは宝塚出身の愛音羽麗さんが演じたのですが、彼女の踊りはたまに「洋」の香りがします。何でしょうねえ、脚を上げるときや決めで止まるときに宝塚を思い出しました。視線の使い方?

玉三郎さんは男女の差も和洋の差もない、普遍的なものを感じます。感覚で「ああ、世界を統べる神様はこういう動きをするのか」と納得してしまう。

クライマックスで闇から岩戸が開いて神々しい光が見えたとき、その先に目が吸い込まれます。リピーターのお客さんはこの瞬間のために何度か来ているのかもしれません。


打楽器の表情も豊かでした。

叩く人たちの演技だけでなく、音だけでも感情が表せるのだなあと。神々が岩戸の前で踊る=太鼓の競演でいろんなアンサンブルを観ることができます。ちょっとコミカルなシーンもありました。大太鼓ではバチと腕が一体化していて、音も素晴らしいけれど見た目も美しい。叩いて音を出すだけなんですが、これだけいろんなものを乗せられるんですね。

あと、光を音にするなら鈴の音になるというのは新しい発見でした。岩戸が開いたあと、ライトアップと一緒に鈴の音が満ちていきます。復活したアマテラスも鈴を両手に舞います。あの「さわさわさわ」とも「しゅわしゅわしゅわ」ともつかない音は、光そのものなんですね。


やっぱり、映像ではなくて生の空気を一緒に吸う体験は自分の五感が刺激されます。今回はまったく言葉がない世界だったので、日常を離れることができました。

追伸)TBSの前で阿藤快さんとなぎら建壱さんがロケしてました。カンペを見ながら、そして周りの人物をいじりながらあの四角い画面の中でうまく完結させるというのは、立派な職人技なんだなあ…。

 

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